シリア軍の化学兵器使用の立証は困難

2013.8.26
追加 同日 16:35


 alarabiya.netによれば、日曜日、アルカイダ傘下のテロ組織、アル・ヌスラ戦線(al-Nusra Front)は、化学兵器の使用に対して、アラウィ派の村に報復を誓いました。

 「アラウィ派の村はダマスカスの我が国民を攻撃した化学兵器ロケットそれぞれについて対価を支払うことになる」と、アル・ヌスラ戦線の指導者、アブ・モハメッド・アル・ジャウラニ(Abu Mohammed al-Jawlani)はツィッターに投稿した音声メッセージで言いました。

 alarabiya.netによれば、アサド大統領の兄弟、マーハ・アル・アサド(Maher al-Assad)は化学兵器攻撃に関与したことで非難されていると「the Guardian」が土曜日に報じました。

 1年間姿を見せていないマーハは、シリアで最も恐れられている軍師団を指揮する影の中にいます。

 マーハが指揮する第4機甲師団は政権を代表する中心的存在です。彼は2000年以降、師団長を務め、同時にもうひとつの主要戦闘部隊である共和国防衛隊を率いています。首都から反政府グループを追い出すために最大の作戦が開始された時、部隊は先週活動中でした。第4師団は比較的、18ヶ月の戦争で他の師団を苦しませた脱走と亡命の影響を受けていません。

 マーハが最後に姿を見せたのは、ダマスカスの会議室で治安責任者とアサドの義理の兄弟、アセフ・シャウカット(Assef Shawkat)を殺した爆発の数週間前でした。

 alarabiya.netによれば、フランスのフランソワ・オランド大統領(President Francois Hollande)は、アメリカのバラク・オバマ大統領(President Barack Obama)に、すべてはシリア政府がダマスカスのゴウタ(Ghouta)で先週行われた化学兵器攻撃を行ったということに一致していると言いました。

 「国家元首が化学兵器の使用を避難し、すべてはこの受け入れがたい攻撃の犯人を呼ぶことに矛盾がないと言いました」と、フランス大統領府は声明の中で言いました。「2人の大統領は、この前例のない攻撃に共同の対応に達するために、緊密を維持することで合意した」と声明は言いました。

 日曜日に、シリア政府は国連の専門家にゴウタの攻撃現場への訪問を認めると言いました。国連は日曜日、査察官が月曜日に現地へ入ると言いました。国連専門家の現地入りをロシアは歓迎しましたが、米政府は遅すぎるために、信頼性が足りないことを疑いました。イギリスも日曜日に、化学兵器攻撃の証拠はすでに査察官の訪問を前に破壊されているかも知れないと言いました。

 「我々は国連チームが成し遂げられることについて、現在は現実的であるべきだ」とウィリアム・ハーグ外務大臣(Foreign Secretary William Hague)は言いました。「実際、証拠の多くは砲撃で破壊されているかも知れません。他の証拠は数日間で分解され、改竄されたかもしれません」。彼は、シリア軍がこの地域を数日間砲撃しているという反政府派活動家の報告を引用しました。


 記事は一部を紹介しました。

 アル・ヌスラ戦線がアラウィ派の村を襲撃すると宣言したことは、自由シリア軍がアラウィ派とアサド大統領を分離しようとしている動きと対立します。自由シリア軍は、何らかの宣言を出し、アル・ヌスラ戦線の行動を止めて、この影響を阻止しなければなりません。

 「我が国民」は「our people」を訳したのですが、記事の英語も翻訳されているので、本当にどういう意味かは分かりません。

 第4師団、共和国防衛隊がアサド政権の現状は知りたいですね。これらの部隊を集中攻撃して、シリア軍全体が崩壊するようなら、やるべき時と言えます。

 フランスがシリア軍が化学兵器を使ったと主張するのは、状況証拠による判断だと思われます。オバマ政権はブッシュ政権の誤りを繰り返さないために、直接的証拠をつかむことを望んでいます。

 ハーグ外務大臣が言うように、化学兵器攻撃の証拠が数日で消えるのなら、現在、シリアにいる査察団が探す証拠は、日数が立ちすぎていて、見つかるはずもありません。だから、ハーグ外務大臣の発言には疑問があります。なんの痕跡も見つけられないとは思えません。別の報道では、ハーグ大臣は、犯人はシリア政府と断言しているようですが、これも攻撃地点へ砲撃を続けた事実からの推測でしょう。

 もちろん、シリア軍が化学兵器攻撃の現場を砲撃したのは証拠を焼失、散逸させることが目的です。

 また、今回の攻撃が禁止されていない薬剤を使った攻撃の可能性も捨てられません。

 この攻撃の尻尾をつかみ損ねることは、化学兵器禁止条約体制の限界を暴露することになり、将来に危険を残すことになります。


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