アサド大統領の車列が攻撃を受けた?
BBCによれば、シリアの反政府派はアサド大統領の車列が攻撃を受けたという報道をシリア政府が否定しました。
ロケットが大統領の車列を攻撃したという報道は「夢であり幻想」だと、オムラン・ゾアビ(Omran Zoabi)は国営テレビで言いました。
反政府派はアサド大統領がマルキ地区(Malki)にあるアナス・ビン・マレク・モスク(the Anas bin Malek mosque・kmzファイルはこちら)へ向かった時、迫撃砲を車列に撃ち込んだと言いました。国営テレビの映像は、ラマダンの終わりをダマスカスのモスクで祝う祈とう会に参加したアサド大統領の無事な姿を報じました。
それよりも早く、リワ・アル・イスラム旅団(the militant Liwa al-Islam Brigade)のイスラム・アロウシュ(Islam Alloush)は、大統領の車列は首都のモスクへ向かった時に攻撃を受けたと言いました。反政府活動家と住民も、早朝に迫撃砲の爆発音数発の音らしいものを聞いたと報告したと、ベイルートにいるジム・ミュアー記者(Jim Muir)は言いました。報告された爆発音が大統領のモスク訪問と関連していたかは不明です。
アサド大統領は自分で車を運転してモスクへ行ったと、ゾアビ氏は言いました。
1週間ほどで3度、公の場所に姿を現し、大統領はイード・アル・フィトル祭(Eid al-Fitr・ラマダン明けの祭)の祈りを行うために、シリアのイスラム教指導者と並びました。この祭は通常、夜明けから1〜2時間後に行われます。去年、アサド大統領は彼らと早朝に一緒にいるのが見られています。シリア国営テレビが放送した大統領の映像が、事前に撮影されていたかは不明だと、BBCのモニタリング・アナリストは言いました。実況の説明が短時間あり、すぐに消えました。大統領の車列がモスクへ移動する間に攻撃されたという報道が1時間早く出てきたので、アナリストは映像が事前に撮影されていたかも知れないと言いました。
事件の前に、大統領オフィスがあるダマスカスのラドハ地区(Rawdha)に通じる道路はすべて、治安上の理由で封鎖されたと、反政府派筋はal-Arabiyaテレビに言いました。反政府派指揮官、ファイラス・アル・ビタール(Firas al-Bitar)は、17門の迫撃砲が大統領の車列を狙ったと言いました。反政府派はアサド大統領の移動について、事前に情報を与えられたと彼は断言しました。しかし、別の反政府派ワヒド・セイガー(Wahid Sagar)は、大統領は攻撃されたのとは別の車列にいたのかも知れないと言いました。
記事は一部を紹介しました。
攻撃が成功したかどうかは不明ですが、アサド大統領の行動に関する情報が反政府派に筒抜けの点が興味深いですね。ルートと通過時刻が分かったので、ルートが直接見えるところに見張りを置き、警備線の外側に迫撃砲を配置。見張りが車列を確認したところで砲撃開始というやり方です。
暗殺の方法としては不確実なやり方です。迫撃砲は目標を直接狙わないので、地図上の判断で狙いをつけ、修正しながら命中弾を狙うような兵器です。できれば自動車爆弾を路上に置きたいところですが、人が乗っていない車は治安筋がまっさきにチェックします。そこで、迫撃砲を17門も配置し、どれかが大統領に命中するような方法を考えたのでしょう。しかし、照準を調整する時間はなく、最初に狙った場所に決まった数の砲弾を撃ち混んだら逃げるしかないので、成功の確率は低い攻撃です。それでも、幸運に恵まれれば金星を挙げられるかも知れないとなれば、実行しようと思わない者はいないでしょう。
アナス・ビン・マレク・モスクは大統領宮殿から約2kmの距離にあり、アサド大統領が健在ぶりを示すために行きたくなるような場所です。
テレビ映像が事前に撮影されたものかどうかは分かりませんが、少なくとも昨年の時の映像とは違います。Youtubeに昨年の模様を映したニュース映像がありました(映像はこちら)。これとBBCの記事に掲載されているビデオ映像を比較してみれば違いが分かります。
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2012年 |
2013年 |
写真は右クリックで拡大できます。アサド大統領の左隣にいる聖職者は同一人物です。右隣にいる男性も同一人物で、ネクタイの柄も同じに見えます。しかし、その他の人は異なっています。床には祈祷用の赤い小さな絨毯が置いてあり、床に敷かれている絨毯も違うようです。室内の照明にも変化が見られます。しかし、最近、事前に映像を撮影したかどうかまでは分かりません。
反政府派がつかんだ情報が偽情報で、アサド大統領が別の車列に乗っていた可能性もあります。味方が何人も暗殺されているアサド政権としては、警備には手をかけているはずです。多分、今回の暗殺は成功していないと思います。
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