米下院は空爆承認を可決するか
BBCによれば、金曜日の時点で、ワシントン・ポスト紙の調査では、433人の下院議員のうち、シリア空爆に「反対」か「反対に傾いている」という議員は224人です。
「攻撃を支持する」は25人だけで、134人が「未決定」です。
フランスの世論調査では、68%のフランス国民が空爆に反対で、8月末から9%増加しました。
記事は一部を紹介しました。
米下院の採決の鍵は、「反対に傾いている」の議員がどういう結論を出すかです。土壇場でかなりの議員が賛成に回る可能性はあると、私は考えます。
この空爆には成果がないかも知れません。しかし、空爆をしないのなら、シリア内戦はさらに長引くかも知れません。私は大規模な軍事介入を行って、アサド政権を崩壊させた方が、この地域は安定化すると考えています。反政府派が政権を取ってから、数年間は混乱が続くでしょうが、民主政権の混乱と独裁政権の混乱は意味が違います。軍事的な見地からも、軍事介入のタイミングはすでに遅すぎ、規模は小さすぎます。私は離反者が少ないエリート部隊に対しても、強い攻撃を加えるべきと考えています。
シリア内戦の問題は、イラク侵攻の時と違い、大量の難民が出ていることにあります。ブッシュ政権は軍事的に誤っているイラク侵攻を決断し、大量破壊兵器があると世界を騙し、米軍内からも反対意見が出た地上戦を断行して、失敗しました。さらに、それをアフガニスタンで繰り返すという誤りを追加し、最悪の状態にしました。
今回の空爆に関して、オバマ政権が間違ったのは、これが人道的支援だということを強調するのを忘れたことです。シリアの化学兵器を放置すれば、イランや北朝鮮に誤ったメッセージを送るとオバマ政権が主張したのは、それこそ誤ったメッセージでした。人道支援こそ、この攻撃の目的です。
2百万人以上の難民に対して、国際社会は答えを出さなければならないのに、ブッシュ政権自体の悪い記憶にとらわれて、何もしないことを選択するという誤りをおかそうとしています。
米政府が化学兵器使用に対する懲罰としながらも、化学兵器施設は攻撃しないのなら、何を攻撃するのかということになります。それは、シリアに対するアメリカの宣戦布告、シリア軍の戦力に対する攻撃と同じ状況が生まれるでしょう。それには別の批判がなされるかも知れません。
同じことをするにも、戦略思想があるかないかで、結果は大きく違ってくるものです。それを世界中が理解していません。空爆をしないのなら、シリアの人道支援のための世界的な活動を起こすべきでしょう。多分、そんな声も出てこないでしょう。これが現在の世界の限界線なのです。
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