南スーダン軍がベンティーウを奪還

2014.1.11


 BBCによれば、南スーダン軍がベンティーウ(Bentiu)を奪還しました。

 軍広報官、フィリップ・アガー(Philip Aguer)は、街の橋を守る戦車による最後の抵抗が、現地時間14:30に排除されたと言いました。反政府指導者、レイク・マシャル(Riek Machar)は、反政府軍が民間人を守るために撤退したが、戦いは続けると言いました。「我々はベンティーウから撤退しましたが、それは市街での戦いを避け、民間人の命を救うためです。我々は戦います。戦い続けます」。

 先に、アガー大佐は民間人すべてに、両軍による砲火を受けることを避けるため、ベンティーウを去るよう要請しました。彼は死傷者の数は提示しませんでしたが、両軍の兵士が殺されたと言いました。大佐は、反政府軍が街を破壊し、銀行を略奪し、食糧を盗み、市場に放火したと言いました。「国境なき医師団」はベンティーウの施設が木曜日に略奪され、この地域の活動が危うくなったと言いました。「患者、スタッフ、施設の安全が確保されるまで、我々はベンティーウで必要とされる活動を再開できません」と、南スーダンのチーフ、ラファエル・ジオルグ(Raphael Georgeu)は言いました。アガー大佐は、金曜日の午後から、政府軍すべてはボル奪還に集中すると言いました。


 記事は一部を紹介しました。戦況を把握するために使えそうな情報だけまとめました。

 どうやら、昨日の記事にある「反政府軍が前線から撤退する前に、前進する政府軍の手に渡るのを防ぐために、弾薬を破壊したようでした」の時点で、反政府軍はベンティーウからの撤退を始めていたようです。

 戦いの詳細は分かりません。政府軍がどの方向から攻め、反政府軍がどこを防衛していたのかは情報が僅かで、衛星写真からも簡単な推察ができるくらいです。戦闘による損害も分からないので、反撃の可能性も推測は困難です。戦車が置かれた橋が、市北部にあるものだろうと推測できる程度です。

 ベンティーウを占領した政府軍は、反政府軍による奪還に備えるので、ボルへの転戦はできないでしょう。しかし、戦線が一つになった点は有利です。ボルはまだ戦闘になっていないようで、韓国軍が昨年、自衛隊から借り受けた小銃弾1万発を陸自側に返還したという報道があります。国連組織の移動が妨げられる状態にはないようです。

 政府軍がボルを奪還すれば、当然、和平交渉で政府側が有利になります。しかし、油田地帯を完全に支配したわけではないので、今後も戦闘は続きます。和平会談は流れる可能性が高まってきました。


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