コバネ攻防戦は決定的局面に近づいた?

2014.10.19


 alarabiya.netによれば、インターネットに投稿されたビデオ映像が、自由シリア軍に所属する旅団がコバネ(Kobane・kmzフィアルはこちら)を一部支配する様子を示しました。

 ビデオ映像は街の産業地区にいる第1曙旅団(1st Dawn Brigade)北部太陽大隊(Northern Sun Battalion)の隊員を示すとされます。

 土曜日にコバネでは激戦がありました。米主導の軍用機は、街中心部とトルコ領内の国境付近へ民兵が数日間で最大の砲撃を行ったあと、少なくとも6回のイスラム国の目標を爆撃しました。

 砲撃は空爆がコバネ中心部に命中したあとも続きましたら。目撃者は数発の迫撃砲弾がトルコ領内、マーシットピナル国境検問(Mursitpinar)の近くに落ちたと言いました。

 人権団体「the Syrian Observatory」は、イスラム国を爆撃する米主導の軍隊が異なる2回の空爆で民間人10人を殺したと言いました。しかし、米中央軍司令部は、報告を裏付ける証拠はないと言いました。広報官は民間人の犠牲を減らす軽減策を用いていると言いました。ロイター通信は、この報道を独自に確認できません。

 コバネを守るクルド人民防衛隊(YPG)の指揮官、暗号名ディックル(Dicle)は、攻撃を再会したイスラム国はトルコと街の最後のつながりを断つことを狙っていると言いました。「彼らはコバネと世界の接続を断とうとしています」「トルコは戦闘員や武器を許可していませんが、マーシットピナル検問所に支援物資を送っています。イスラム国は、我々を街に完全に閉じ込めるために、ゲートを破壊したいのです」。

 タイイップ・エルドアン大統領(President Tayyip Erdogan)は今月早くに、彼の考えでは、クルド労働党(PKK)はイスラム教より悪いと言いました。この発言は人口の20%を占めるトルコ系クルド人の間に憤激を引き起こしました。今月早く、都市数カ所で起きた暴動で、35人以上が殺されました。

 人権団体は、イスラム国が土曜日に国境付近で少なくとも21回、迫撃砲で攻撃を行ったと言いました。

 コバネ市内にいるアブドラマン・ゴック(Abdulrahman Gok)は、戦いは過去2日間で最悪だと言いました。「ここしばらく、激しく砲撃されています。彼らは2分間に1回撃っています」。彼は武装勢力が街の東部から検問所に向けて狙っていると付け加えました。


 ビデオ映像を見ると、戦闘はなく、周囲は静かです。映像が間違いなくコバネで撮影されたのなら、イスラム国の一部撤退を裏付けることになります。

 また、自由シリア軍が一部参加していて、それが少なくとも大隊規模であることも分かりました。

 また、クルド人戦闘員がトルコから戻っているような報道もありましたが、まだ禁止されているようです。

 戦闘は街の西部では終わり、イスラム国は東部から検問所へ進撃しようとしていると考えられます。

 検問所付近は、他よりも幅がある大きな土盛りがあり、戦車でも突破できないようになっています。イスラム国はそれを利用して、検問所のゲートを破壊して街への通路を塞ごうとしているように見えます。ただ、道路を完全に穴だらけにしない限り、目的は達成できそうになく、効果は疑問です。

 イスラム国が砲撃を続けるなら、それは空から砲を撃破するチャンスです。斉射して移動せず、次の斉射を行うと、長時間、同じ場所に砲が位置することになります。無人攻撃機プレデターで、砲兵隊の場所を探して攻撃したり、有人攻撃機に位置を知らせるなどの方法が取れそうです。

 また、イスラム国が攻撃を諦める直前に、攻撃を激化させる場合もあります。これが最後の攻撃との可能性もあります。

 


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