イスラム国がさらにコバネ包囲を進める

2014.10.4


 BBCによれば、シリアのコバネ(Kobane)に向けて前進するイスラム国民兵とクルド人民兵の間の激戦が報告されています。

 トルコ国境を越えたBBC特派員は、迫撃砲がコバネの東側郊外を攻撃し、重機関銃と小火器が発砲されているのを報告しました。空爆が2週間の攻勢を停止したのに、イスラム国は町の1km以内へ移動しました。トルコはコバネの陥落を防ぐために、あらゆることをすると約束しました。

 BBCのポール・アダムズ記者(Paul Adams)はトルコの確約にも関わらず、コバネは攻撃を受けており、トルコ軍の戦車隊は数百メートル離れた場所で沈黙していると言います。町の陥落を止めるためにトルコが動く様子はありません。木曜日の議会決定にも関わらず、トルコはまだ関与に慎重です。トルコ政府はもう一度、米主導の同盟国に軍を越境させる前に、飛行禁止区域を作るよう迫るようです。

 午後に、戦闘はさらに激しくなり、定期的な迫撃砲の攻撃が町の東端に命中し、南西部で爆発があると、アダムズ記者は報告します。これはコバネに対する最も持続した攻撃に思えると、記者は付け加えました。それよりも前に、イスラム国がコバネに入ったという未確認の報告がありました。クルド人民防衛隊(the Kurdish Popular Protection Units)のアラン・ミンビック(Alan Minbic)はCNNに、イスラム国民兵が町の南西部角のタル・シャイア地区(Tal Shair)を支配したと言いました。

 木曜遅くに、トルコのアフメト・ダウトオール首相(Prime Minister Ahmet Davutoglu)は「コバネに陥落して欲しくありません。我々はそうなるのを防ぐためにあらゆることをします」「他のどの国もシリアとイラクの情勢に影響を及ぼす能力を持ちません。我々ほど影響を受ける国はありません」。しかし、イズメト・ユルマズ国防大臣(Defence Minister Ismet Yilmaz)は、その後、いかなる即時の行動もありそうにないと言いました。シリア政府はトルコによる行動はすべて侵略行為とみなされると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 シリア軍にイスラム国を追い返す力がない以上、コバネはトルコが守るしかありません。しかし、トルコはすぐに動く様子はないということです。

 この記事に、トルコが飛行禁止区域(no-fly zone)を設定するようアメリカなどに迫る予定と書いてありますが、イスラム国には空軍はありませんから、シリア空軍の接近を防ぐための飛行禁止区域でしょう。トルコ空軍を出すこともできるはずですが、直接、隣国と戦うのを避けたいのでしょうか。米主導の空爆に何もできないシリア軍には大きな動きはできそうにないように見えます。コバネに空軍を投入できないのなら、シャー・スレイマンの墓を守るために空軍を派遣することもできないことになります。

 この調子だと、イスラム国がコバネを占領するのが先になりそうです。いまトルコ軍が攻撃すれば、イスラム国を撃退できそうに思えますが、占領後に掃討することになるのかも知れません。


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