北朝鮮が原子炉から燃料棒を取り出した可能性
38north.orgによれば、最近の商用衛星の写真は北朝鮮、寧辺の核科学研究センターの5MWeプルトニウム生産炉が定期点検に必要な期間以上に長い10週間を過ぎてシャットダウンしたままであることを示します。
決定的な結論には早いものの、新しい証拠は以下を暗示します。
- シャットダウンは北朝鮮に限定的な数の燃料棒(おそらくは欠陥品)を原子炉から取り出させたかも知れません。
- 平壌は放射化学研究所を再開する準備をしているかも知れません。それは使用済み燃料棒の核廃棄物から兵器級プルトニウムを分離します。
この評価は以下の3つの観察に基づきます。
- 放射化学研究所に関連する建物に位置する巨大な冷却塔から出る蒸気は稼働を始める前のメンテナンス、試験その他の活動に一致します。
- 車のドアから再加工用建物へ移動する前に再加工施設で燃料棒を受け取る建物付近でのトラックの活動。
- 古い燃料製造施設の外にある灰色の資材の山は、5MWe原子炉用の燃料棒と思われます。それは化学的プロセスが新しい燃料棒の生産に関係する可能性があることを示すかも知れません。
別の重要な進展として、現在川の近くで放棄されている反応炉冷却システムから別の場所へ熱水と蒸気を運ぶ新しいパイプラインと思われるものの建設が始まり、将来の監視活動を難しくしています。
記事は一部(要旨部分)を紹介しました。
毎日新聞もこのレポートを報じていますが、10週間を越えて原子炉が長くシャットダウンされたことは書いていません。
形式は違いますが、日本の原子炉の定期点検は3ヶ月間程度です。それに近い期間、原子炉を止めて、その付近で何かを運び出している動きがあったので、壊れた燃料棒を取り出したのではないかというのがレポートの主旨です。
国内記事は重要な部分を削除して、まとめてしまう点が問題ですう。そして、漠然とした不安を感じた読者が、日本も核武装すべきだなどと言い出す原因を作っています。
この長期間のシャットダウンも、本当に燃料棒の取り出しかは分かりません。別の目的があったのかも知れません。単に定期検査が長引いただけかも知れません。あるいは、やはりプルトニウムの取り出しのためだったのかも知れません。この種の観察には不透明さがつきまとうものなのです。単純に結論を導き出すべきではありません。
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