ホワイトハウスがヘーゲル辞任で確執を否定

2014.11.26


 military.comによれば、米国防総省はチャック・ヘーゲル国防長官(Defense Secretary Chuck Hagel)がスーザン・ライス安全保障担当補佐官(National Security Adviser Susan Rice)やその他のスタッフと、イスラム国に対する戦略で論争した後で退任を強いられたことを否定しました。

 広報官、ジョン・カービー海軍少将(Rear Adm. John Kirby)は「長官はスーザン・ライスと緊密な職業上の関係があります」と言いました。「長官の辞任と我々がイスラム国に対して進めている戦略には関連がありません」「彼は彼自身を国家安全保障チームの強力なパートナーだと考えています」。

 カービー広報官は、ライス補佐官がヘーゲルの追放を大統領に進言したとされる報道で、彼が「匿名の当局者による狙撃」と呼ぶものを否定しました。報じられるところでは、ライスの行動はヘーゲルが先月、アサド政権を弱体化させるのに集中するためにイスラム国に対する作戦を求めるメモを送った後に行われました。

 ヘーゲル長官は第2次世界大戦後、24番目の防衛長官で、在任期間は13位となりますが、平均的な在任期間を大きく下回るでしょう。国防長官の平均在任期間は1,018日です。ヘーゲル長官は、12位で783日間在任のアイゼンハワー政権の防衛長官、ニール・H・マケルロイ(Neil H. McElroy)の次におり、前任者で在任608日間のレオン・パネッタ(Leon Panetta)の直前にいます。最も在任期間が短いのはニクソン政権のエリオット・リチャードソン(Elliot Richardson)で、114日でした。在任期間最長の国防長官はケネディ政権とジョンソン政権のロバート・マクナマラ(Robert McNamara)で、2,595日間でした。ドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)は在任最長の防衛長官になろうとしましたが、ブッシュ政権が中間選挙で負けた後に辞任し、マクナマラよりも在任期間は10日短く、2位となりました。

 ヘーゲル長官は後任者を上院が承認するまで在位し、数ヶ月かかり、来年に持ち越される見込みです。彼は来月、ホワイトハウスに軍隊の性的暴行に関する報告を行います。彼は在任中にベトナム訪問の予定を再検討することを望んでいます。彼は先月、長期間予定された外国訪問をキャンセルしました。


 記事は一部を紹介しました。

 日本ではヘーゲル自身の陰に確執があったという報道が中心です。しかし多分、実状はもっと複雑でしょう。米政府に関する国内報道はステロタイプなものが多く、政権内の内紛はこういう場合に必ず言われることです。それも、アメリカの報道にさらに推測を重ねたようなものが多く、毎回、内容が似ています。結論はいつも同じで、大統領が孤立化しているというものです。パパ・ブッシュについても似た報道がありました。こういう報道には信頼がおけません。

 しかし、ホワイトハウスが否定するのと違い、確執は存在したのだと考えられます。問題はそれが本当に問題かということです。

 オバマ政権は最も軍隊に注文を多く出す政権です。伝統的な政府や軍隊のやり方とは違うことをしています。それが前任の国防長官たちの批判を招きました。しかし、現在のところ、対テロ戦という難しい問題で、オバマ政権は成果を出しつつあります。これがブッシュ政権だったら、大量の軍隊を現地に送り込み、大金を使って、大規模な作戦を展開するだけでしょう。オバマ政権は過度に軍隊に介入することで、無制限な作戦の拡大を抑えています。

 これが最終的にテロ組織に勝つことにつながるかどうかは、現在のところは分かりません。しかし、伝統的なやり方で、過去に何度も失敗してきたことを考えると、もしかしたら、オバマ政権のやり方が正しいのかも知れないと、私は考えます。もう少し、今のやり方を続けて、結果を見ることが、将来のためにも重要なのだろうと考えるのです。

 国防長官の在任期間に関する部分は、興味深いので、本題と関係なく紹介しました。

 


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