イラクでイスラム国掃討にA-10を投入

2014.12.18


 military.comによれば、米軍指揮官はここ数週間、A-10「サンダーボルトII」をイラクでイスラム国の目標を攻撃するために派遣しています。シリアには派遣していません。

 A-10の運用の報告は、「不動の決意作戦」を支援するために、11月中旬にA-10が中東に派遣されたという先月の発表に続きました。

 「彼らが中東にいる間、我々はA-10の使用を最小限にするでしょう」と当時、空軍広報は言いました。

 A-10はイラク北部と北西部で複数の空爆を行っていますが、今のところシリアでの任務からは制限されています。A-10による攻撃の有効性や目標命中の有効性に関する評価はありません。

 イスラム国に対する作戦へのA-10の存在は、予算を削減し、F-35統合打撃戦闘機の人員を維持するためにA-10を退役させる空軍と国防総省の計画にわたる議会での長い議論に続きました。

 ジョン・マケイン上院議員(Sens. John McCain)とケリー・エイヨット上院議員のようなA-10の擁護者は、A-10とその30mmガトリング砲は空軍の武器の中で最高の近接航空支援武器のままだと答えました。擁護者は議会に広まり、最近通過した国防授権法は少なくともさらに1年間、A-10の命を長らえるために3億3700万ドルを提供することを含みます。


 記事は一部を紹介しました。

 A-10は低空飛行と地上攻撃が得意な機体で、イスラム国のようなテロ組織相手には最善の武器と言えます。テロ組織が持つ車両類は他の軍隊から強奪したもので、そう多くはありません。それらを空から正確に攻撃することは、クルド軍やイラク軍を支援する上で重要です。戦車や歩兵戦闘車のような装甲兵器、大砲を破壊すると、歩兵は丸裸になり、地上軍だけでも十分に敗退させられるようになります。

 先日紹介したように、イスラム国が誘導型の地対空ミサイルを持っていると、撃墜される危険がありますが、その危険が低いのなら他の攻撃機よりも効率的に攻撃ができるはずです。最小限どころか、最大限に使って欲しいところです。

 シリアでA-10を使っていないのは、作戦の優先度からであり、他意はありません。まずはイラクのイスラム国をシリアへ撤退させ、それからシリアのイスラム国への攻撃を強化します。その段階では、シリアでA-10が使われることになります。

 F-35を維持するためにA-10を退役させるかどうかはむずかしい判断でしょう。当面の対テロ戦を考えると、F-35よりもA-10の方が出番が多いかも知れません。元々、冷戦期に構想された兵器ですが、今でもその価値は十分にあります。武器調達の攻防は、戦場から離れたワシントンでの戦いの世界です。


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