ヨルダン軍ジェット機墜落に見る情報戦

2014.12.26


 BBCによれば、シリアに墜落したヨルダン航空機はイスラム国によって撃墜されなかったと米軍はいいます。

 水曜日の朝、航空機はイスラム国の領域で失われ、パイロットは拘束されました。イスラム国は彼らが熱線追尾ミサイルで航空機を撃墜したといいました。しかし、アメリカは証拠は明白にこれが嘘であるといいます。

 F-16戦闘機は9月に空爆を開始してからイスラム国領域内で失われた最初の同盟国航空機です。イスラム国は捕らえられたパイロットの写真を発表し、パイロットをモアズ・ユーセフ・アル・カサスバ空軍中尉(Flight Lieutenant Moaz Youssef al-Kasasbeh)としました。

 米中央軍はイスラム国の行動を強く非難し、グループがパイロットを捕虜にしたことを確認しました。墜落の原因については言及はありませんでした。しかし、中央軍はイスラム国がこの不幸な航空機の墜落を彼らの目的のために歪めて伝えたり利用しようとすることを許容しないといいました。「証拠は明確に、イスラム国がテロ組織が主張したように航空機を撃墜しなかったことを示します」。

 アメリカはヨルダンのジェット機が墜落した後で航空機を発進させましたが、パイロットは救助される前に拘束されたと、米当局者は匿名でいいました。


 記事は一部を紹介しました。

 ここでは米軍とイスラム国の双方が何をやっているかに注目してください。

 イスラム国は墜落したヨルダン軍ジェット機を、自らが熱線追尾ミサイルで撃墜したと宣言することで、自分たちが対空兵器を持っていることを強調しようとしました。偽情報を流すことで、ジェット機が自分たちの陣地に接近するのを止めさせようとしたのです。通常、空爆を行うジェット機は対空ミサイルで攻撃されることを避けるために、高空を飛びます。ヘリコプターのように低空で活動する航空機は、ミサイルを避けるのが難しく、撃墜されることがありますが、ジェット機はあえて低空を飛ぶ必要はありません。戦場では、より高い場所を飛ぶ航空機が有利なものです。しかし、それでも撃墜できると宣伝することで、イスラム国はジェット機を使った空爆を止めさせたいのです。

 この発表を無視したり、軽視すると、イスラム国が対空兵器を持っているという認識が広まってしまいます。それを防ぐために、中央軍は直ちに反論し、証拠があることを明白にしたのです。それは友軍機の行動を管理するためのレーダー情報や無線の交信記録でしょう。だから、どんな情報かは発表はできません。

 部外者である我々は、イスラム国が公表した写真から、風防が破損せずに改修されているのを知ることができます。ここから、カサスバ中尉が低空で脱出をしようとしたことを推測できます。F-16は風防を先に飛ばして、その直後に座席が射出される仕組みです(脱出例の写真はこちら)。高空で撃墜され、脱出したのなら、風防の損傷はもっとひどいかも知れません。パイロットは墜落する航空機を不時着させようとして、最後まで操縦を試みたのかも知れません。イスラム国による撃墜の可能性は確かに低いと見ることができるのです。

 


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