アメリカがカルザイ大統領に安保条約の圧力

2014.2.26


 military.comによれば、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は国防総省に、アフガン政府がアメリカとの安保条約への署名を拒否するなら、今年末までにアフガニスタンからの完全撤退の計画を立てるように命じました。

 ハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)との電話において、オバマ大統領は条約が最終的に調印されれば、2014年のあともアメリカは制限された兵士をアフガンに駐留させられるとも言いました。オバマ大統領はカルザイ大統領が相互安保条約に調印しそうにないことを認め、4月の選挙の勝者に米軍の駐留継続を委ねました。

 「我々は今年後期までアフガニスタンとの相互安保条約を結ぶ可能性を残しています」とホワイトハウスは二者間の電話会談の要旨について言いましたが、「相互安保条約が結ばれないと、2014年の後の米軍の任務は規模と志が小さくなることになるでしょう」。

 火曜日の電話会談は6月以降で最初の二者の接触で、安保合意への署名を拒否するカルザイ大統領へのホワイトハウスのフラストレーションを強調します。ホワイトハウスは繰り返して、条約がなければ、米軍をアフガンから撤退させると言い続けています。

 チャック・ヘーゲル国防長官(Defense Secretary Chuck Hagel)は、オバマ大統領の命令をカルザイ大統領が署名しない見込みを前提とした「慎重な一歩」だと言いました。しかし、彼は国防総省は来年以降も、対テロとアフガン軍の訓練に集中したアフガンでの任務を行う計画も作成していると言いました。彼は今週、ブリュッセルでの会議で、NATO軍の指導者とアフガン派遣の将来について話し合います。


 記事は一部を紹介しました。

 アフガンからの完全撤退は、いわば脅しみたいなもので、本気で撤退するつもりはありません。単なる圧力です。アメリカとしては、規模を縮小しながらも、アフガンに影響力を残したいのです。そうしないと、アフガンの武装勢力の情報が手に入りません。

 こんな風に、他国の安全のためとして軍を派遣しながらも、その背後には、自国の安全保障のためという理由があります。これは在日米軍も同じことで、日本に米軍を置くことで、アメリカは日本が再び軍事国家になることを防ぎ、中国や韓国に、そのように説明して、恩義を売れるというわけです。中東方面への足がかりも維持しています。

 ところが、日本政府は国民に、米軍は日本を守るためにいるとか、中国から沖縄を守るためにいるとか、訳の分からない説明で誤魔化しています。どこの世界に、他国の軍隊に自国の安全を委ねる国があるのでしょうか。米軍がいないと防衛に大変な金がかかると説明する与党政治家もいます。日本国民が、なんとなく、その説明を受け入れているのも、おかしな話です。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.