NATO軍司令がロシア軍のウクライナ増派を警告
BBCによれば、NATO軍司令官はロシア軍がウクライナ国境に兵を増派していることに警告を発しました。
欧州最高連合司令官、フィリップ・ブリードラブ大将(Gen Philip Breedlove)は、NATO軍はモルドヴァ(Moldova)のトランス・ドニエストル地域(Trans-Dniester region)への脅威を特に気にしていると言いました。
ロシア政府は、ウクライナ東部のロシア軍は国際合意に合致していると言いました。増派は、親ロシアのウクライナ大統領の退陣に引き続き、ロシアのクリミア併合と組んで行われました。
ウクライナ外務大臣、アンドリー・デスティツシア(Andriy Deshchytsia)は、ロシアとの戦争の危機が高まっていると警告しました。「プーチン大統領との問題は、彼がウクライナ政府とだけでなく、西欧の指導者とも対話を望んでいないことです」とデスティツシア大臣は言いました。「そして、これは意志決定の過程で、まったく危険です。我々は彼が侵略をするかもしれないと予測するしかありません」。
一方、米国家安全保障担当副顧問、トニー・ブリンケン(Tony Blinken)は、米政府はウクライナの要請すべてを再検討していると言いました。「軍事支援がいるなら、我々はそれを検討します」。しかし、彼は「支援がウクライナにいくとしても、ロシアの決意を変えたり、侵攻を防ぐことはありそうにありないのが事実です」と付け加えました。オバマ大統領は先に、米兵をウクライナへは送らないと明言しました。
ロシア軍旗は、現在、189ヶ所のクリミア半島のウクライナ軍部隊で掲揚されています。
ロシアの EU大使、ウラジミール・チゾフ(Vladimir Chizhov)は、再統一は事前に計画されなかったが、60年間続いた異常の終わりだと言いました。彼は、ロシア政府は拡張主義的考えを持っておらず、誰もロシアを恐れるべきではないとも言いました。しかし、彼はアメリカがウクライナに軍事支援を送っていることには、重大な間違いだと言い、警告しました。
日曜日、ウクライナの国家安全保障・国防評議会議長、アンドリー・パルビイ(Andriy Parubiy)は、キエフで行われた集会に「プーチン大統領の狙いはクリミア半島ではなく、ウクライナ全土です。国境に集まった彼の軍隊は今すぐにも攻撃する準備をしています」と言いました。
ブリードラブ大将のコメントは、ブリュッセルにあるドイツ軍のシンクタンク「the German Marshall Fund」が開催したイベントで発せられました。彼は「ウクライナ東部にいるロシア軍は非常に規模が大きく、即応体制にあります」「そうする決定が出されれば、トランス・ドニエストルに殺到するためにウクライナ東部国境で態勢をとるに十分な力があり、それは非常に気がかりです」「ロシアはパートナーではなく、敵対者のように振る舞っています」と言いました。
トランス・ドニエストルはドニエストル川とウクライナの南西国境の間の、狭い細長い土地で、1990年にモルドヴァから独立しました。国際社会は公言された国家の地位を認めませんでした。クリミア併合と共に、トランス・ドニエストル最高会議はロシア連邦への参加を問う要請を出しました。
ロシア国防副大臣、アナトリー・アントノフ(Anatoly Antonov)は「ロシア国防省は、ウクライナとの国境地域の兵数を制限する国際合意に従っています」と言いました。
記事は一部を紹介しました。
「トランス・ドニエストル地域」は日本では「沿ドニエストル共和国」と呼ばれているようです。共和国と言っても、自称の状態で、国際的には認められていません。
ロシア軍が増派したのはウクライナ東部国境地帯で、トランス・ドニエストル地域とは反対側です。ブリードラブ大将が言うのは、もし、ロシアがトランス・ドニエストル地域の要請を受諾すれば、それを大義名分として、東部にいるロシア軍をウクライナへ侵攻させ、この地域はおろか、ウクライナ全体を掌握してしまうということでしょう。
しかし、これはいくら何でも無茶です。ウクライナ軍は勝てないと分かっていても、ロシア軍に立ち向かいます。NATO軍もさすがに放置できないとして、軍事介入を決めるでしょう。中国ですら、こうした動きには反対するでしょう。国連におけるロシアの立場は消滅すると言ってもよいくらいです。
これは最悪・最大のシナリオを想定しての発言だと思いたいところです。記事に、ロシア軍の増派の状態が書かれているかと期待しましたが、特別なことは書かれていませんでした。
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