ロシアが鉄道船航路に橋を建設へ
時事通信によれば、ロシアのメドベージェフ首相は3日、ロシア軍による事実上の占領が進むウクライナ南部のクリミア半島とロシア側を橋でつなぐため、11月までに調査を完了させる契約をロシアの国営建設会社と結びました。
橋はクリミア半島とロシアのタマニ半島を隔てる4.5キロのケルチ海峡に架けられる計画。第2次大戦中の1943年、クリミア半島を占領していたナチス・ドイツが橋の建設に着工し、ソ連が完成させたが、終戦前に崩落しました。
これは驚きました。昨日、南方ルートの説明で引き合いに出した鉄道船の補給路を、ロシアが重視していることが分かる記事です。思った通りだったと納得しました。今朝の目玉ニュースは、ロシアがクリミア半島のウクライナ軍に最後通告を出したかどうかでしたが、そんなことは二の次になりました。
メリトポリ(kmzファイルはこちら)経由の補給ルートだと、ウクライナ国民を挑発し、紛争が激化する危険があります。西欧の介入も招きやすいでしょう。しかし、南方ルートなら、そういう危険が低くて済むのです。カフカズ港(kmzファイルはこちら)とケルチ港(kmzファイルはこちら)をつなぐ鉄道船に橋を追加することで、輸送量を飛躍的にあげることができます。あとは、海軍と空軍で、これらの交通機関が破壊されるのを防ぐだけです。
ロシア軍の実際の派遣数は16,000人であることが分かりました。予想以上に多くの補給量が必要です。将来、紛争が激化しても、十分な補給を行える交通機関が完成することになります。
これでウクライナ紛争は長期化することが決定的となりました。世界大戦になると主張する某政治評論家がいますが、私はそうは思いません。BBCの記事にも同様の見解を見つけました。
なぜそう思うのかというと、まず、ロシアも現在はそこまでの国防力はなく、できるだけ紛争を小さく収める必要があるからです。あからさまな侵略行為は、国連安保理事国の手前としてできません。ウクライナの大半は今のままとしても、黒海艦隊を失うことは認められません。そこで、ロシア人の保護を理由にクリミア半島を封鎖。ウクライナ軍は包囲して投降させ、クリミア半島の外へ送り出します。親ロシア系住民による住民投票を行って、クリミア半島をロシアに帰属させます。これで黒海艦隊は安泰です。そのためには南方ルートを太くすることが重要なのです。
親ロシア系住民が多いウクライナ東部への侵攻は、上記を達成するためには不適切です。ウクライナ軍や暴徒が東部の親ロシア住民を弾圧すれば別ですが、それはロシアの思うつぼなので、ウクライナ政府がさせないでしょう。
こうしてクリミア半島のロシア帰属を国際社会に強引に認めさせる。西欧諸国は、嫌でもロシアが描いたシナリオに従わざるを得ない。モスクワは、こんな風に考えているはずです。
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