ウクライナ紛争に関する政治的動き

2014.3.9


 BBCの記事から、ウクライナ情勢に関して、その後の展開を拾い出しました。

 ロシアの外務副大臣はモスクワでウクライナ大使と会談を開きました。ロシア外務省は詳細は伝えませんが、土曜日の会談はグリゴリー・カラシン副大臣(Grigory Karasin)とウォロジミール・イェルチェンコ大使(Volodymyr Yelchenko)との間で、開けた雰囲気の中で行われたと言いました。

 土曜日、バラク・オバマ米大統領(Barack Obama)とフランシス・オランド仏大統領(Francois Hollande)は、ウクライナ危機を緩和しないなら、新しい手段をとると警告しました。フランス大統領府は、電話会談で2人の指導者は「ロシアにクリミア半島へ送った部隊を撤収させ、国際監視団の派遣を認めるためにあらゆることを行う必要がある」と主張しました。「新しい手段」が何かは明らかではありません。

 ロシア国防省当局は、ロシア政府はウクライナ危機へのアメリカとNATOの対応に、国際軍縮条約下での戦略兵器の外国の査察を中止することを検討していると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 ロシアと西欧はお互いに次の手を打っています。

 その中で気になるのは、戦略兵器の査察を中止するとロシアが言ったことです。これは全面核戦争も辞さないという意図を表現するために選ばれたのです。

 ただし、直ちに核戦争になるのかと言えば、そうではありません。査察は定期的に行われるもので、核兵器についても、短期間に大きな変化は起こせず、監視ができないからといって、いきなり危険な状態になるわけでもありません。しかし、こうするという態度を見せることによって、ロシアは最悪の場合を想起させ、西欧に警告を発しているのです。

 核戦略下では、このように慎重な対応が打たれていくものです。

 これとは他に、現地で起きる不測の事態が危機を悪化させることもあります。それが起きると、予想外の展開となることもあり得ます。そこは心配ですが、今のところは、大きな問題にはならない程度の状況だといえます。


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