ロシア軍が僅かに派遣部隊を撤収か

2014.4.1


 BBCによれば、ウラジミール・プーチン大統領(President Vladimir Putin)は、ウクライナ国境の兵を部分的に撤退させると命じたと、ドイツ政府が言いました。

 プーチン大統領はアンゲラ・メルケル首相(Chancellor Angela Merkel)に電話でこの動きを伝えました。ロシア軍の大軍は依然として国境沿いに展開されているといわれています。

 それより先に、ウクライナはドミトリー・メドベージェフ首相(Prime Minister Dmitry Medvedev)と政府大臣の代表団がクリミアを訪問したことを非難しました。メドベージェフ首相は、投資家を引き付けるために税制優遇措置と官僚機構の減少でクリミア半島を経済特区にすると発表しました。彼は給与と年金をすばやく引き上げ、教育、保険、地域のインフラを向上させるとも言いました。

 月曜日の午後、プーチン大統領はメルケル首相に、ウクライナ東部国境からロシア軍を部分的に撤退させると言ったと、メルケル首相のオフィスは言いました。「それに加え、2人はウクライナとトランス・ドニエストルの状況を安定させる方策を議論しました」とし、1990年にモルドヴァからの独立を宣言したウクライナ西部国境の親ロシア地域に言及しました。

 ロシア政府の声明は部分的撤退には言及しませんでしたが、2人の指導者はウクライナの安定の回復に対する国際的な支援の機会について議論したと言いました。プーチン大統領はメルケル首相に、ウクライナはその地域全体が尊重させることを確実にするために、憲法改正を行う必要があると言い、トランス・ドニエストルの封鎖を終える処置を求めました。

 フランスとポーランドの外務大臣との会談の後、ドイツのフランク・ウォルター・スタインマイヤー外務大臣(Foreign Minister Frank-Walter Steinmeier)は「私は我々が最悪の事態の悪化を克服したことを望みます」と言いました。彼のコメントは、ロシア国防省が第15独立自動車化狙撃旅団の1個大隊がロストフ地域(Rostov)のカダモフスキー(Kadamovsky)での野戦演習を終え、サマラ地域(Samara)の駐屯地へ戻ったと発表した後に出されました。自動車化狙撃大隊は約500人で構成されると考えられています。NATO筋は、兵の移動に関する徴候があったものの、現段階で、その重要性を評価するのは難しいと言いました。

 西欧の外交官は約40,000人の兵士が配置されており、彼らは依然として巨大な潜在的脅威を与えていると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 ウクライナ国境に派遣した部隊は3万人から10万人までの差があり、今回、4万人という数字が出てきました。総数がいずれの数字であっても、500人の撤退ではほとんど意味はありません。今後、徐々に撤退する兵を増やすのかに注目する必要があります。

 これを仲介を買って出ているメルケル首相にだけ告げたというのも、ロシア外交のうまさなのでしょう。使える外交チャンネルは残しておくというわけです。

 多分、この撤退を行って様子を見て、徐々に撤退部隊を増やしていくのがロシアの考え方だろうと思います。

 先ほど、国内報道でこのニュースを見ましたが、撤退した兵数については、何の説明もありませんでした。これでは意味がありません。撤退した兵数の情報は事態を評価するのに不可欠です。必要な情報が報道に含まれないところに、日本の報道の問題があります。


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