シリア防空軍指揮官が戦死

2014.5.19


 BBCによれば、シリアの防空指揮官が、首都ダマスカス近くの戦闘で死亡しました。

 フセイン・イサク将軍(Gen Hussein Ishaq)は、土曜日に反政府派がメレハ近く(Mleiha・kmzファイルはこちら)の防空基地を攻撃した時に負傷し、あとで死亡したといわれています。彼は内戦で殺された少数の軍高官の1人です。

 人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」の理事、ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は、イサク将軍の死は重要な心理的打撃を政権に与えたと言いました。防空軍司令部はダマスカス周辺の戦いの激戦区の中にあります。反政府派には空軍がないため、イサク将軍配下の部隊は滅多に防空のために配備されることはありませんでした。

 1ヶ月以上、レバノンのヒズボラに支援されたシリア軍はメレハから反政府軍を追い出すために戦っていました。人権団体は、初期にメレハで政権は前進したものの、反政府軍は領域を取り戻し、市役所周辺の建物いくつかを奪還したと言いました。

 シリア軍はダマスカスを完全掌握していますが、反政府派は封鎖や砲爆撃にも関わらず郊外のいくつかの町と村を支配しています。


 記事は一部を紹介しました。

 やっとダマスカス周辺での戦闘の情報が出てきました。報道されないものの、戦闘は続いているようです。不思議なのは、首都郊外を完全に制圧できない政府軍が、なぜホムスやアレッポを攻撃できるのかということです。普通なら、その戦力を首都郊外の制圧に向けるものです。それを終えたら中部と北部の制圧に向かえます。政府軍が戦力を分散させているのに、反政府軍はそれを利用できないのです。反政府軍も戦力不足なのでしょう。

 イサク将軍の死は成果ではあるものの、これまでの政府高官は何人もが殺されたり、離反したりしてきました。それでも、シリア政府は生き残りました。今度も同じでしょう。

 メレハは大統領宮殿から11km足らずの場所にあります。そこで戦闘が継続していることが分かったのが、この記事の収穫です。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.