ドネツク空港で分離主義者多数が死亡

2014.5.28


 BBCによれば、ウクライナ内務省は、ドネツク(Donetsk)の空港を完全に支配したと言います。

 親ロシア分離主義者30人以上が月曜日朝に空港を占領しようとした後で殺されたと内務省は言いました。新大統領、ペトロ・ポロシェンコ(President Petro Poroshenko)は東部の反乱に数ヶ月でではなく、数時間の内に対処すると誓約しました。ロシアは軍事行動を直ちに停止するよう要請しました。欧州安全保障協力機構(OSCE)は監視チームとの連絡が途絶えたと言います。

 OSCEは監視員4人は、月曜日18時頃(グリニッジ標準時)に検問所で止められた時、ドネツク東部の定期的な任務に着いていたと言いました。広報官は監視員は全員男性で、トルコ人、スイス人、エストニア人、デンマーク人だと言いました。デンマークの貿易大臣、モーンス・イェンセン(Mogens Jensen)は、彼らは武装した分離主義者に拘束されていると考えられていると言いました。

 ウクライナの内務大臣、アルセン・アヴァコフ(Interior Minister Arsen Avakov)は、空港は完全に支配していますが、作戦は継続中だと言いました。散発的な銃と砲の発砲が午後まで聞こえました。

 地元の検死官は民間人2人を含む37体の死体を見たと言いました。ドネツクの死体安置所の写真では、1ダース以上の軍服姿の死体が積み上げられていました。

 自称ドネツク人民共和国の代表者は、多くの戦闘員がトラックが彼らを病院へ運ぶ間に政府軍の攻撃を受けた時に死んだと言いました。

 死者数の報告は様々です。ドネツク市長、アレキサンダー・ルキャンチェンコ(Alexander Lukyanchenko)は、40人が殺されたと言い、反政府派指導者は最終的な数は100人を越えると言いました。

 ポロシェンコ大統領は紛争を終えるためにロシアと会談したいとも言いました。ロシア政府は選挙の結果を受け入れ、勝者と対話すると言いました。しかし、セルゲイ・ラブロフ外務大臣(Foreign Minister Sergei Lavrov)は火曜日、ポロシェンコ大統領のロシア訪問は検討されていないといいました。彼はポロシェンコ大統領にウクライナ東部での軍事作戦を止めて、4月17日のジュネーブ和平交渉のロードマップを実行するよう再度要請しました。


 記事は一部を紹介しました。

 ロシアの態度が気になります。ドネツクを不安定にする工作をしながらも、決して、武力行使に踏み切ろうとしません。ポロシェンコ大統領に攻撃停止を求めたところで、受け入れるはずがないことは分かっていても、型通りの抗議はしています。

 どこに真意があるのかと考えれば、過去のなりゆきからウクライナ東部の親ロシア派の要請を入れて、独立運動を支援したものの、自国の軍隊を犠牲にしてまでやる気はないということになります。当初、私が予測したように、ロシアにとってはクリミアの黒海艦隊が重要なのであって、ドネツクは優先順位が落ちるのかも知れません。先日、ロシアがドネツクの分離運動を支援していることを知り、それが目的かとも思いましたが、どうやら実力を行使してまでやる気はないようです。すると、立ち上がった親ロシア派はやはり見殺しの運命です。

 これが軍事大国のやり方です。血も涙もないのが実際のところなのです。比較して、日本の集団的自衛権論のように、アメリカにゴマをするために安全保障の体制を変えるなど、子供の遊びのようなものなのです。この悪癖を脱しない限り、日本にまともな安全保障が確立されることはないでしょう。


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