ISISが捕虜のイラク兵を大量処刑か
BBCによれば、イラク全土で領土を得たスンニ派過激派グループ「イラクとレヴァントのイスラム国家(The Islamic State in Iraq and the Levant)」はインターネットにイラク兵を処刑したと思われる写真を投稿しました。
軍人たちは連行され、処刑の前後に塹壕に横たえられているように描かれています。イラク軍広報官、カジム・アル・ムサウィ中将(Lt Gen Qassim al-Moussawi)は、写真は本物で、サラディン州(Salahuddin)で起きた事件を描写していると言いました。しかし、写真は独自に確認されていません。
過激派はモスル(Mosul)とティクリート(Tikrit)を先週占領しましたが、いくつかの町は反政府から奪還されました。米政府はイラクの状況に懸念を示し、バグダッド(Baghdad)の米大使館の警備を増やし、何人かの職員を安全な場所へ移動しました。
米空母ジョージ・HW・ブッシュ(The USS George HW Bush)は2隻の戦闘艦と共に湾岸へ派遣されましたが、地上部隊は派遣しないと米政府は言います。
イランはイラク政府に直接的な支援を申し出ましたが、兵の派遣は否定します。しかし、革命防衛隊130人以上が訓練と助言をするためにいるとの報道があります。
虐殺の写真はISISによって投稿されたとみられ、グループがティクリートの軍基地を占領した後に、兵士に何が起きたかを示しているといわれます。ビデオ映像は、さらに前に撮影されたとみられ、スパイカー基地(Speicher)で降伏したと言う音声と共に、数百人の男たちが歩かせられているのを示します。スチール写真は大勢の若者がトラックで運び去られるのを示します。写真のキャプションでは、彼らが処刑のために連れられているとありました。いくつかの映像では、ISISの戦闘員が拘留者に向けて発砲しているように見えます。
BBCは、ISISが3,000〜5,000人の戦闘員を持つと報じています。
記事は一部を紹介しました。
危機的な状況ですが、ISISの兵力が3,000〜5,000人では、イラク軍に勝てないというのが軍事の常識です。今回の成果は一時的なもので、首都が陥落するようなことは考えられません。重火器の点でも、イラク軍がISISを凌駕しています。さらに、米空母の艦載機による空爆が行われると、ISISは身動きがとれなくなります。
大量処刑は衝撃的な事件ですが、イラクには軍人だけでなく、民兵も数多くいます。それらと合わせても、現段階で、イラク全体が過激派の手に落ちるようなことは考えられません。
しかし、ISISがこれだけ戦ったという実績はできあがり、さらにイスラム過激派に参加したがる者が増えるという危険はかなり高いと考えなければなりません。
シリアでISISの勃興を止めていれば、こういう動きはなかった可能性は否定できません。シリア内戦を早期に終わらせる必要性が高いというのは、こういう理由もあったのです。
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