米軍のイラク軍の評価は予想以下
military.comによれば、米国防総省によるイラク軍の事前評価は、イラク軍の約半数しか米特殊部隊の顧問を受けられる能力を持たず、多くの部隊にはスンニ派武装勢力の密通者やイランが支援するシーア派のメンバーの両方が潜入していると結論しました。
ニューヨークタイムズ紙は、評価はヌーリ・アル・マリキ首相(Prime Minister Nouri al-Maliki)に従うイラク軍はシーア派民兵とイランの準軍事組織、クッズ・フォース(Quds Force)に依存し、アメリカ人の顧問を、特定の部隊を訓練するよう配属された場合に、安全上のリスクに直面する恐れがあると警告したと書きました。タイムズ紙によれば、評価は特殊作戦軍の6チームが先月準備しました。
事前評価でなされた他の結論の中に、民兵が首都を大勢で攻撃すると、イラク軍はバグダッドを防衛できない可能性があるとありました。報告書は、イラク軍はISISが成し遂げた成果を逆転する能力がないとも結論しました。この結論は統合参謀本部議長、マーティン・デンプシー大将(Gen. Martin Dempsey)が,今月早くに公のコメントで指摘しました。
タイムズ紙は事前評価は中央軍司令、ロイド・J・オースティン三世大将(Gen. Lloyd J. Austin III)によって評価を受けました。最終評価はチャック・ヘーゲル国防長官(Defense Secretary Chuck Hagel)と国防総省に今週宙に提出されます。この報告書と、そこから中央軍と統合参謀本部が出す勧告は、さらに顧問、武器、偵察システムを送るかに関するオバマ政権の決定に影響を及ぼします。
アメリカは2011年に米軍が撤退する前に、イラク軍の訓練と装備に250億ドルを使ったとされます。数年間で、訓練と装備のレベルは落ち、マリキ首相は政治的な忠誠心に基づいて将校を昇進させることで緊張を高めました。
記事は一部を紹介しました。
かなり低い評価に驚きました。しかし、驚くには値しないのかも知れません。
イラク軍の訓練で米軍が四苦八苦していたのは、当サイトでも何度も紹介しました。元々、イラク兵は米軍式の訓練に合わないのだと思います。戦闘能力の基準に達するイラク兵が少ないため、基準を引き下げたこともあります。兵士は増えたと思ったら脱走して減り、一定しませんでした。米軍の訓練がイスラム文化を無視して、不適切だったこともあります。
一方で、米軍相手のゲリラ戦では、テロリストたちはかなりの成果を収めました。このテロリストが元イラク軍兵士である場合もあり、 テロリストがイラク軍に潜り込もうとする場合もありました。兵士としてのイラク兵は場合によって強くなったり、弱くなったりするという印象なのです。
つまり、米軍にによる評価は驚くに値しない。イラク軍はいつもこんなもんということです。
それよりも、イラン軍顧問がいて、イラク軍が捻れた構造になっていることの方が気になります。増派を検討するにも、イラン軍顧問の影響力も計算しなければなりません。
この報告書の内容なら、多分、増派は不要でしょう。攻勢があったら、イラク軍は砲兵で突撃を阻止できますし、米軍は空母艦載機で爆撃ができます。重火器が不足しているISISに、この支援戦力は大きな障害になります。
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