イスラエル軍が避難所への誤射を認める

2014.7.28


 alarabiya.netによれば、イスラエル軍は日曜日、木曜日に15人が殺された、ガザ地区にある国連の避難所を迫撃砲で攻撃したことを認めましたが、殺害は否定しました。
 
 バイト・アヌーン(Beit Hanoun)の学校での事件に関する記者会見でピーター・ラーナー中佐(Lieutenant Colonel Peter Lerner)は、民兵が学校の周辺地域で迫撃砲と対戦車ロケットをイスラエル軍へ向けて発砲していたと言いました。イスラエル軍は迫撃砲で応戦し、散発的な砲弾を建物へ撃ち込みました。「一発の迫撃砲の誤射が学校の校庭に着弾しました」と彼は言いました。校庭は事件当時、完全に無人でした」と彼は付け加えました。「我々は事件に続いて即座に様々な当局が出した、(イスラエル軍の)作戦上の活動の結果として、人々が学校施設の中で殺されたという主張を否定します」。

 現場に行ったAFPのカメラマンは地面に血だまりがあったと言い、ガザ緊急サービスの公報、アシャラフ・アル・クドラ(Ashraf al-Qudra)は爆発で15人が死亡し、少なくとも200人が負傷したと言いました。国連事務総長、潘基文(U.N. Secretary General Ban Ki-moon)は「女性と子供を含む大勢が殺されました」と言い、「ぞっとさせられた」と付け加えました。ラーナー中佐は犠牲者は至るところで荒れ狂う戦闘で攻撃され、負傷した後で応急処置や避難のために施設に連れてこられたと指摘しました。


 一応の回答が出たわけですが、納得できる部分とできない部分があります。

 ハマスの攻撃に応戦するために迫撃砲を使ったというのは、ありそうな話です。その中に「不正規弾」があって、照準からずれた場所に落下したのでしょう。同じ照準で迫撃砲を撃っても、砲弾と装薬の製造上の問題で、狙った場所に命中しないことがあり、それを不正規弾と呼びます。迫撃砲は同じ照準で数発を発射する場合が多いのです。

 しかし、事件当時、学校が完全に無人だった確証を、戦闘の最中にイスラエル軍が持っていたとは考えにくいことです。BBCの記事に掲載されたビデオ映像で、事件の数日前の学校の様子が分かるのですが、当時から避難した人はいて、その人たちが校庭にいたとしてもおかしくはありません。

 カメラマンが撮影した血だまりも、ごく最近、誰かがそこで大けがをしたことを示すものであり、少なくとも1人が重傷を負った可能性があると見なければならないものでした。カメラマンは砲弾が着弾するところも撮影しており、事件直後に現場に行ったものと想像できます。

 しかし、死亡15人、負傷200人という数字は、映像の内容からしても、大きすぎるように思えます。その中には、他の攻撃で被害を受けた人が含まれていても不思議ではありません。

 校庭に誰もいなかったというのは、イスラエル軍の言い訳で、大勢が死傷したというのは、ハマスの方便である可能性を感じます。第三者による検証の必要を感じます。


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