バグダッディがビデオ映像で説法
BBCによれば、アブ・バクル・バグダッディ(Abu Bakr al-Baghdadi)が殺されたという噂が広まってから24時間以内に、彼がビデオ映像に登場しました。
初めてのビデオ説法で、バグダッディはイスラム教徒に自分に従えと要求しました。ビデオは金曜日に、イラク北部のモスル(Mosul)にあるアル・ヌーリ・モスク(the al-Nouri Mosque)で撮影されたとみられます。
彼がイラク軍の空襲で死んだか負傷したという報道の中、映像は土曜日に公表されました。この攻撃がいつ行われたかと考えられたのかは明らかではりません。
説法の中で、モスルの最も有名な場所で、バグダッディは先週土曜日に宣言されたイスラム国の建設を称賛しました。専門家は、武闘派武装勢力の指導者は、かつては写真はあっても、ビデオに登場することはなかったと言います。
バグダッディは「指導者を指名することはイスラム教徒の義務です。それは数十年間無視されてきました」。彼はカリフの地位を「重荷」と呼び、固執しないとも言いました。「私はあなたたちの中で最良ではないですが、私はあなたたちの指導者です。だから、私が正しいと思ったら、私を支持してください。私が間違っていると思ったら、私に忠告してください」。
記事は一部を紹介しました。
記事に添付されているビデオ映像を見ると、バグダッディがイスラム聖職者のような姿をしており、ビンラディンとはまた別のイメージを確立しようとしていることがうかがえます。
背景には特徴のある建物の一部が映っており、これによって撮影場所が特定されたとみられます。
バグダッディが死んだという噂は、多分、イラク政府が流したのでしょう。
テロ組織は国家のように領域を持たず、どこででも活動できるという特徴がありました。イスラム国家はシリアとイラクの一部を領土とすることで、テロ組織から国家になりたがっていることを明らかにしました。
これによって、イスラム国家は領域を防衛するという弱点を抱え込むことになります。しかし、この地域から彼らが追い出されたら、また、別の地で活動を再開すればよいだけなので、国家ほど領域に対する固執はないということになります。
アルカイダも、この地域にさらに広範な領域を持つことを目標にしていましたが、彼らはまったく達成できませんでした。ISISがそれを達成し、イスラム国家を名乗れた理由は、多分、シリア内戦にあるのでしょう。シリア内戦に乗じて、彼らは勢力を拡大できたのです。隣国のイラクはずっと政情不安定なままでしたから、そこに付け入れたのです。しかし、そこから先はイランやサウジアラビアという、手強い相手が控えていますから、これ以上の勢力拡大は無理でしょう。
この事情を利用して、イラクやシリアがイスラム国家を攻撃することは可能ですが、両者間の協調態勢のなさと、国内の治安問題が足を引っ張ります。この結果、イスラム国家は隙間産業のように生き残ることになるのでしょう。
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