米軍がモスルダム周辺への空爆を続行

2014.8.21


 military.comによれば、米軍機はモスルダム(Mosul dam)周辺のイスラム国家への空爆を続けたと米中央軍司令部は言いました。

 空爆はISILの戦闘員が使う検問所を破壊しました。攻撃目標が明らかにされない二番目の空爆は失敗しました。追加の空爆は、月曜日のダム奪還に続いて、その支配を拡大するクルド軍とイラク軍を支援しました。

 ダム奪還は3日間連続の空爆に続いたと国防総省は言いました。クルド軍とイラク軍の前進を支援することで「我々は空爆は重大だったと考えます」と、国防総省広報官、ジョン・カーヴィー少将(Rear Adm. John Kirby)は火曜日に記者会見で言いました。ダムを守り、得たものを確固とするために、さらに空爆が必要なら実行するとカーヴィー少将は言いました。

 ダム奪還は、6月にイラクに侵入し、モスルと西部と北西部の帯状の地域をイラク軍の僅かな抵抗で奪って以来、ISILが発した無敵の雰囲気に大きな風穴を開けたとカーヴィー少将は言いました。「彼らの士気は傷ついています」とISILについてカーヴィー少将は言いました。モスルダムの奪還は「彼らが身の丈10フィートではないことを示します」。

 ISILは挑戦的なままで、新しい名称、イスラム国家の名前で「我々はお前たちすべての血を流す」というキャプション付きのビデオ映像を公開しました。

 ISILはイラク軍のティクリート(Tikrit)への前進に抵抗しています。前進が後退させられたかについては相反する報道があります。カーヴィー少将は「ティクリートは競合したままですが、(イラク軍は)そのために戦っています」と言いました。

 カーヴィー少将は、モスル周辺での重爆撃が、オバマ大統領が言った人道危機を防ぎ、イラクの米人と施設を守るという目標を超えた作戦(mission creep)であることを否定しました。少将は、目標を超えた作戦とは、目標と目的の増大や拡大を意味すると言いました。彼はダム周辺の空爆は、もしダムが決壊し、水の波が放出されたら南方のバグダッドに達する、巨大な人道的問題を防ぐことを助けると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 カーヴィー少将がISILの不敗神話を否定してみせたのは、アメリカでISILの脅威を感じるという世論がかなり強いことを思わせます。この点で、日本とアメリカでは、かなりの温度差があります。

 しかし、当サイトで指摘しているように、このままISILが勢力を拡大し続ける可能性は低いと言えます。

 ただ、悪いニュースもあります。alarabiya.netによれば、人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」が、先月だけで、ISILが6,000人以上の新兵を集めたという気になる発表をしています(関連記事はこちら)。ISILは過去に15,000をシリアとイラクで新兵を集めているとされます。多分、最近の前進を見て、ISILに惹かれた者たちが集まったのでしょう。

 「mission creep」という言葉は、以前にも当サイトで紹介しました(関連記事はこちら)。軍事用語ではなく、メディアが生んだ言葉ですが、カーヴィー少将がその定義について、自ら解説しているのが興味深いと感じました。

 ダム決壊が作戦の目的だったということですが、先に書いたように、ISILがダムを破壊する可能性は低いはずです。モスルダムは水や電気を供給しており、電気がなくなったら、ISILも困ることになるからです。モスルダムはISILの支配地域に電気を供給しています。

 ただし先日書いたように、モスルダムは定期的なメンテナンスを必要とし、アメリカも世界で一番危険なダムと認識しています。つまり、長期間、メンテナンスができないと危機的状況になりかねないのです。

 だから、早めに奪還しておきたかったのでしょう。また、占領された状況が続くと、ダムが決壊するという噂が広がり、無用な騒ぎを誘発しかねません。

 念のために実施された作戦ですが、あまり優先度が低いと認識されたら、批判が高まるという心配もあり、カーヴィー少将は、こういう説明をしたのでしょう。

 


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