米軍にシリア国内を空爆の意図なし

2014.8.22


 military.comによれば、チャック・ヘーゲル国防長官(Defense Secretary Chuck Hagel)とマーティン・デンプシー大将(Gen. Martin Dempsey)は木曜日、イラクとレヴァントのイスラム国家(ISIL)の軍に対するアメリカの空爆は、差し当たり、イラクに限定されるものの、ISILの脅威は結果的にはシリアで、そのコア部分と直面させられなければならないだろうと言いました。

 イラクとレヴァント軍隊のイスラムありさまに対する米国の空襲がしばらくの間イラクに限られていると、チャック・ハーゲル国防長官とマーティン・デンプシー将軍は木曜日に言いました、しかし、結局、ISILの脅威はシリアでそのコア部分と直面しなければなりません。

 国防総省での記者会見で、ヘーゲル長官とデンプシー大将は、戦争に疲れた米国民に、彼らがISILと連携グループとの長期的戦いと信じるものの準備をさせようとしているように見えました。彼らはISILの民兵が米国内を攻撃しかねないとも警告しました。

 ヘーゲル長官は、シンジャル山脈(the Sinjar mountains)でのアメリカの空爆は、ISILの勢いを衰えさせたものの、「我々はISILが再編成して、新たな攻勢をかけると予測します」と言いました。

 9/11テロ攻撃以来、財政、組織、新兵徴用、戦術能力の分野で、「このグループは我々が見てきたものを越えています」とヘーゲル長官は言いました。「そうです。彼らは(アメリカへの)差し迫った危機です」。さらに、アメリカへ脅威をもたらし、直面せざるを得ない、アフガニスタンから西アフリカにわたるテロリストグループの弧があるとデンプシー大将は言いました。「非常に長い戦いとなりそうです」。

 ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)は、シリアにあるISIL基地を攻撃する空爆作戦の拡大を迫りましたが、ヘーゲルとデンプシーは、より広範な空爆作戦は差し迫っていないと指摘しました。ヘーゲル長官はオバマ大統領が作戦が目的を越えることを懸念しており、「大統領は承認しないだろう」と言いました。

 2人は、シリアのISILの戦力を衰えさせる方法として、シリアの反政府派の穏健派を確立するために、海外緊急事態活動予算案の5億ドルをあげました。しかし、デンプシー大将はシリアのISILを究極的に打倒するのは、過激派に対抗して団結しようとして、我々がこの地域で同盟を持った時だけだと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 昨日、アメリカがシリアで空爆を行ったとの記事を読んで、強い違和感を感じたことを書きましたが、やはり、やっていないようですね。それで合点がいきました。

 ヘーゲル長官とデンプシー大将が述べたことは、取り立てて、目新しくありません。アメリカは終わりがまったく見えない対テロ戦の最中にあります。これは2003年にジェフリー・レコード教授が述べたように、テロリズムは敵の名称ではなく、闘争手段の名称であること。テロリズムは弱者が強者と戦う時に用いる普遍的手法であること。地球上からテロリズムが消滅する可能性は極めて低いこと。よって、ブッシュ政権は終わりなき戦いを始めた、と指摘したことが続いているのです(関連記事はこちら)。

 その後、アルカイダだけでなく、イスラム戦線やISILという新組織までが現れ、戦いは複雑化しています。イランまでが新興のイスラム主義勢力に恐れを成して、アメリカと協力せざるを得ない形になっているほどです。一体、いつ終わりが見えてくるのかすら分からない状態なのです。

 ISILがアメリカ本土を攻撃する可能性は、私は低いと思います。シンジャル山脈から追い出されたISILが再編成をして、攻勢をかけるのは戦術の常識で、近いうちに起こるはずです。それができないようなら、ISILの実力はかなり低いということなのです。

 


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