アラブ諸国がイスラム国空爆を提供へ
BBCによれば、米当局者は、数カ国のアラブ諸国がイラクのイスラム国民兵に対する空爆に参加すると申し出たと言います。
しかし、彼らはいかなる行動もイラク政府の承認が必要だと付け加えました。ジョン・ケリー国務長官(Secretary of State John Kerry)は過激派グループに対処するために軍事支援の約束を受け、「非常に鼓舞される」と言います。ケリー長官はイスラム国に対する行動の支援を手に入れようとする中東訪問の後、パリで述べました。
フランスは月曜日に、イラクの治安とイスラム国の問題に関して、国際会議を主催することになっています。
ダマスカス駐在中東編集員
ジェレミー・ブラウン(Jeremy Bowen)による分析
「サウジアラビア、カタール、トルコなどを含むテロ組織を産んだ国々と協力しては、テロリズムとは戦えません」とイラクのファイサル・メクダッド副外務大臣(Deputy Foreign Minister Faisal Mekdad)は私に言いました。これら諸国はこれまでにイスラム国を支援したことはないと言います。しかし、カタールとサウジアラビアは、一部がイスラム国に転じたスンニ派反政府グループに武器を提供しました。トルコはアルカイダとイスラム国の過激派を含んだスンニ派戦闘員をシリアへ越境させました。メクダッド副大臣は、効果的な同盟はシリアだけでなく、ロシアとイランを含まなければならないと言いました。彼は、許可のないシリア領域への空爆は戦争行為であり、国連憲章に違反し、シリアだけでなく、この地域への厄災になるというシリアの主張を繰り返しました。
BBCとのインタビューで、メクダッド副大臣は、シリアを含まないイスラム国に対する同盟を構築するオバマ大統領の計画には瑕疵があると言いました。「彼の戦略には、重要な要素の多くが欠落しています。テロリズムと戦うシリアと我々はテロリズムとの本物の深刻な戦いの中心となるべきです」。
記事は一部を紹介しました。
ケリー長官の中東訪問はワシントンでは成功したと評価されるでしょう。アラブ諸国の支持は、アメリカの空爆にかかる費用を減少させ、持続可能な作戦にするために有効です。しかし、当のイラクが乗り気ではなく、アメリカが苦手とする国を同盟に含めろと言うようでは、先が心配です。
メクダッド副大臣の意見は一部はあたっているものの、ロシアを含めると、ウクライナ情勢でのアメリカの対応に影響を及ぼすでしょう。ある地域で協力し、別の地域では反目するという形はうまく行かないでしょう。自由シリア軍を支援しているアメリカとしては、シリア政府との協力体制も望ましいわけがありません。
結局、イラクの意向は無視されるでしょう。それがイスラム国への対処に悪影響を及ぼさないかが心配です。
同じ対テロ活動でも、国によって、その中身は微妙に違います。イスラム国が直接アメリカ本土を脅かす可能性はなさそうですが、イラクにとっては、まさにそういう問題です。国際的な連立には、常にそういう問題がつきまといます。国連の創設によって、そういう問題は少し減ったものの、依然として重要課題であり続けるのです。
本件とは関係ありませんが、イスラム戦線の捕虜となった日本人、湯川遥菜氏について、私はストックホルム症候群の心配をしています。つまり、彼がイスラム国に共感を感じ、彼らと行動を共にする可能性です。これは過去に何度も起きていることなので、彼を批判するべきではありません。彼の帰還を願っていることに変わりはありません。
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