空爆が応酬でのテロ攻撃を誘発する?
BBCによれば、欧州連合のテロ対策チーフ、ジル・デ・クレコフ(Gilles de Kerchove)はイスラム国に参加するヨーロッパ人の人数が3,000人を越えると言い、西欧の空爆がヨーロッパで報復的攻撃の危険を高めると警告しました。
クレコフ氏は、3,000人という数字は、この地域に行った者、帰国した者、死亡した者すべてを含むと言いました。CIAはイスラム国はイラクとシリアに、過去の3倍、31,000人の兵士を持っているかも知れないと見積もります。
彼はイスラム国が6月にカリフを宣言したことは、ヨーロッパからさらに支援を引き出すことにつながったかも知れないと言いました。「これを信じる者は、おそらく、できるだけ早くに参加したいと思うでしょう」。彼はアメリカと西欧の空爆がイスラム民兵がヨーロッパの目標に対して暴力的な反応をする危険を高めると警告しました。「私はイスラム国がそうすると認めなければならないと考えます」「3日前に(イスラム国が)同盟国に報復するという声明を出したので、それはフランス人には明白なことです。アルジェリアで誘拐されたフランス人は斬首されました。つまり、彼らは発表したことをしたのです」。
クレコフ氏は、イスラム国と競合するアルカイダのようなグループが、立場を維持するために、ヨーロッパで攻撃を行うかも知れないとも警告しました。「(イスラム国の)勃興がアルカイダにまだ存在価値があることを示すために何かしようと促すかも知れなせん」。
記事は一部を紹介しました。
3,000人という数字が重複して計算されたものだとすると、私の予想よりは少ない数字です。もっと多いと予測していました。少し安心させられました。
クレコフ氏が言う通り、空爆はテロ攻撃の可能性を高めます。安倍総理は単純に集団的自衛権を行使すれば、日本の抑止力が高まると考えていますが、物事はそれほど単純ではありません。武力で国を守ることに熱心な国が、常に他国やテロリストから狙われているという事実は、敵は殲滅しない限り、決して安心できないということを教えています。戦力のバランスで平和を保つという発想は虚妄に近いと、私は考えます。
しかし、イスラム国を放置すれば、中東地域の混乱はさらに深まり、将来的に、より大きな脅威を西欧に与えるでしょう。そういう想定の下では、空爆は一種有効な措置なのです。このように、戦いは自らが損害を受ける覚悟で行うものであり、空爆で打撃を与えたから安心とか、地上軍は派遣していないから安心という話ではありません。何が起きるかはやって意味ないと分かりませんし、効果は結果で判断することになります。
イスラム国の戦闘員は、元は裕福な暮らしをしていて、社会に対する疑問からテロリストになった者もいます。そういう者が強力な空爆を目の当たりにすると、また考えが変わるかも知れません。最近捧持された西欧人の斬首映像も、殺害の方法が稚拙な点が気になります。かつて、イラクで同種の事件が起きたとき、犯人は極めて手際よく首を切り落としていました。戦いに長けたものがどれだけイスラム国にいるのかは疑問です。こういう相手なら、空爆で打撃を与え、イラク軍などの地上軍が侵攻することで打倒できるかも知れません。いまはそれを試している段階なのです。
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