イスラム国がコバネ包囲網をさらに縮める

2014.9.30


 alarabiya.netによれば、イスラム国の戦闘員が月曜日に、トルコ国境沿いのアイン・アル・アラブ(Ain al-Arab・kmzファイルはこちら)の5km以内に前進しました。

 人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」の、ラミ・アブドル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は「彼らはコバネ(Kobane)の南と南東へ5kmにあります」と言いました。コバネはアイン・アル・アラブのクルド語の名前です。「これまでにイスラム国が来た最短の距離です」。

 前進の際、民兵は少なくともロケット砲15発を斉射し、はじめてアイン・アル・アラブの中心部を攻撃し、少なくとも1人を殺したと、アブドル・ラーマンは言いました。「街への最も暴力的な砲撃でした」。

 シリア・トルコ国境にさらなる砲撃が直撃したと、彼は付け加え、トルコ側にいるAFPのカメラマンによって確認されました。シリア側からの砲撃がトルコ国境沿いの街、サーク(Suruc)に命中し、3人が負傷した翌日、カメラマンは少なくとも迫撃砲弾1発がマーシットピナル検問所(Mursitpinar)の近くに着弾したと言いました。

 イスラム国の民兵は2週間近く前に、アイン・アル・アラブを占領する試みを始め、街周辺の村67ヶ所を占領しました。アイン・アル・アラブはシリアで3番目に大きいクルド人の街で、イスラム国にとって大きな成功となり、長く引き伸ばされた、シリア・トルコ国境の支配を完成させます。


 記事は一部を紹介しました。

 マーシットピナル検問所はアイン・アル・アラブの北側にある町で、アイン・アル・アラブが陥落したら、次にイスラム国の目標となる場所です。記事にはアイン・アル・アラブの占領で、シリア・トルコ国境の支配が完成すると書いていますが、検問所も支配しないと完全ではないでしょう。

 トルコ軍はこの周辺に軍を集結し、イスラム国の流入を防ごうとしているはずです。あるいは、先手を打って、シリア領内に入り、アイン・アル・アラブを防衛しようとするかも知れません。それによって、マーシットピナルを守るのです。

 この記事からは5km圏内に前進する際にロケット砲を発射したということから、イスラム国には射程5〜10km程度のロケット砲しかないことが推測できます。多分、自作の発射機でしょう。重火器を欠いた戦闘部隊は標準的な装備を持つ、トルコ軍のような軍隊が打ち破れるはずです。


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