イスラム国がヨルダン人パイロットの殺害方法を募集

2015.1.1


 military.comによれば、イスラム国は先週拘束したヨルダン人パイロットを殺すための最良の方法をツィッターの「ヨルダン人パイロットの豚を殺す方法の提案」というハッシュタグで募集し、千回を超えるリツィートを受けました。

 パイロットのモアズ・サフィ・ユーセフ・アル・カサスバ(Mu'ath Safi Yousef al-Kaseasbeh)、26歳のヨルダン空軍中尉は搭乗していたF-16が、イスラム国が支配するシリアのラッカ(Raqqa)付近に不時着した後で拘束されました。ヨルダンはパイロットが傷つけられたら重大な結果を招くとイスラム国を脅す一方で、イスラム主義者はヨルダンは米主導の同盟を止め、パイロットの釈放と引き替えに数人の囚人を釈放するよう要求しました。

 いくつかのイスラム国傘下のツィッターアカウントは組織のフォロワーに、カサスバ中尉を殺す方法を提案するよう求めました。先週、イスラム国は英語の月刊誌ダビク(Dabiq)でパイロットのインタビューを公表しました。記事は「イスラム国があなたをどうするか分かっていますか?」という質問で終わっています。カサスバ中尉は「はい。彼らは私を殺します」と答えました。

 イスラム国のフォロワーが共有する中尉殺害のアイデアは、彼を打ち首にする、生きたまま焼く、ブルドーザーで轢くことを含みました。多くの投稿には斬首されたり、負傷した子供などの写真が添付されていました。ある投稿は「さよなら、モアズ」と翻訳されるメッセージ付きのスチームローラーを示し、別の投稿は「斧が一番」という家畜の写真を示しました。

 「我々は皆、モアズの虐殺を望む」という別のハッシュタグも千回のツィートを受けました。このハッシュタグはパイロットがイスラム国兵士と共にいるよう加工された写真を示しました。写真にはイスラム国が今年、ビデオで公開されたイギリス人とアメリカ人を殺害したと主張するメンバー「聖戦士ジョン(Jihadi John)」に拘束された男性の一人が含まれていました。

 しかし、「我ら全員がモアズ」というハッシュタグでは、パイロットを称賛し、彼の家族を支援するメッセージを提供しました。

 連合国の空襲で殺されたシリア人男性の母親と主張する参加者は、カサスバ大尉を彼がゆっくりと死ぬように棒で突き刺して、吊るせと主張し、銃やナイフで殺すのは慈悲だといいました。

 カサスバ中尉は「私はシステムディスプレイをチェックし、それはエンジンが損傷して燃えていることを示しました」と言ったと報じられました。「機体は通常の飛行経路から逸れはじめたので、私は脱出しました。私はフラト川(the Furat River)にパラシュートで脱出し、シートが地面に捕まり、イスラム国の兵士が私を拘束するまで私を動けなくしました」。


 記事は一部を紹介しました。

 身の毛もよだつ話をしているようですが、これがイスラム国の心理戦だということをお忘れないように。相手を怖がらせるのはテロリズムの手法なのです。

 テロ組織は手に入れた材料は無駄にしません。最大限に活用し、世界を震え上がらせるまで利用し尽くすのです。

 いま日本には単純にテロリズムとの戦いに参加せよとの声がありますが、そうした人たちは、世界各地にいる日本人が同様の危険にさらされることを忘れています。集団的自衛権を発動して、イスラム国との戦いに参加すれば、間違いなく、犠牲者が出ます。イスラム国の支持者は先進国にも多数おり、復讐の機会があれば実行に移すでしょう。

 今後、カサスバ中尉がどんな殺され方をしても、我々は感情の一部を閉鎖し、何も感じないようにするしかありません。殺害されるのが日本人の場合も同様です。それが戦いというものなのです。馬鹿馬鹿しいほどの犠牲を繰り返して進むのが戦いなのです。

 これとは別に、イラク軍がモスル奪還の準備をしているらしいとの情報を投稿でもらいました。投稿のコーナーで紹介しています(投稿はこちら)。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.