イスラム国がイラク北部で反攻を開始

2015.1.13


 military.comによれば、イスラム国がイラク北部のクルド人地域で攻勢を開始しました。

 イスラム国はクルド人のペシュ・メルガに対する攻撃を始め、クルド人の首都イルビル(Irbil・kmzファイルはこちら)から25マイル(40km)南西のグワル(Gwer・kmzファイルはこちら)の近くで少なくとも24人を殺害し、バイジ(Baiji)の精油施設(kmzファイルはこちら)へも攻撃しました。


 記事は一部を紹介しました。米軍ソーシャルメディアへのハッキングに関する記事に書かれていたことですが、末尾に重要な戦況が書かれていたので、それを紹介します。ハッキング事件は国内メディアの報道と大差はありません。

 グワルは現在、イスラム国が占領しているモスルからイルビルにいたるもう一つの幹線道路上にある河畔の街です。ここを占領すれば、北側のルートと共にイルビルを攻める準備が整います。

 イスラム国は、シンジャル山脈がクルド人に取られそうなので、イルビルを陥落させるのを選択したのかも知れません。この決定が戦力不足の焦りの中で決まったのか、余裕の中でのことかが気になります。前者なら、イラク北部でイスラム国が崩壊しつつあることを示します。余裕があればシンジャルに増援を送り、足固めをすることも考えられますが、それが無理なので、イルビルを強引に奪い、ここに厳しいイスラム法の支配を置くことで、クルド人が敗北したことを世界に示すつもりかも知れません。その場合、宣伝用に大量虐殺が行われる危険があります。つまり、これはクルド人には負けられない戦いです。

 シンジャルよりも遠いバイジ精油所を奪還しようとしているのは、シリアの精油所が米軍などの空爆で破壊されたことに関係しているのかも知れません。石油による収入が激減したので、バイジ精油所がどうしても必要なのかも知れません。

 もし戦力不足の焦りがこうした作戦を展開させているのなら、クルド人やイラク人にとってチャンスが訪れたことになります。いずれなのかを見極める必要があります。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.