人質事件に関する野党の政府批判自粛に疑問

2015.1.29


 日本人がシリアで人質になっている最中、国会が開幕となりました。

 その中で、野党が軒並み、政府批判を自粛すると聞き、それでは健全な議会討議がなされないだろうと思い、27日にすべての野党(民主、共産、生活、維新、社民、次世代)に送りました。

 その内容は以下のとおりです。

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すべての野党の皆様へ

シリアでイスラム国に日本人が拘束された事件に関して、野党全体に政府批判を避ける動きがあると、私は報道を通じて知りました。

まさに、日本が挙国一致の雰囲気に包まれています。これはファシズムが再び台頭する転機になりかねないと、私は考えます。

確かに、この事件を政局に結びつけた政府批判は、広く国民に不快感を引き起こすかも知れません。しかし、平和学、軍事学の観点からの批判は正当なものと受け取られるべきです。

太平洋戦争で真珠湾作戦に参加して捕虜になった酒巻和男氏は、捕虜収容所でアメリカの新聞を読み、戦時においても議会で政府批判が行われているのを知り、驚愕したと述べています。

まして、今回の事件は日本人二人が被害にあったに過ぎず、国家同士の戦争に比べたら、その負荷は格段に低いと考えるべきです。

今一度、健全な議会討議の価値を思い起こして下さい。

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 この意見に対して、返事をくれたのは共産党だけでした。その内容は以下のとおりです。

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 メールありがとうございました。
 日本共産党の立場は、「日本政府は、人命最優先で、解放をはかるために、あらゆる手段、あらゆる可能性を追求してほしい」ということです。
 私たちは、交渉の当事者ではないわけですから、政府とテロリストや関係諸国のあいだで、水面下をふくめて、どんな交渉がおこなわれているか、その情報の全体を知る立場にありません。
 そういう立場のものが、いわば交渉の外部から、あれこれと論評したり、こうするのはまずい、こうやるべきだ、などの意見を言い始めると、交渉そのものに予想外の悪い影響を与える場合もあります。
 「人質の解放」という交渉の目的そのものでは、政府と私たちのあいだに見解の違いはないのですから、個別の問題で意見や疑義があったとしても、発言を控える節度が大切だと思っています。

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 共産党でも、こうなのかという感じですね。

 私が要請文中に酒巻和男氏の話を含めたのは、最も負荷が高い国家同士の戦争の中ですら、米議会では議論が行われていたのに、被害者が2人のテロ組織による誘拐事件で議論を自粛するとは健全な議会議論とは言えないということを示すためだったのです。大戦中、議会で政府に反対する者は、たとえ議員でも非国民とみなされたことでしょう。

 この事件の他の分野では、さきほど国会中継を見た限りでは、活発な追及が行われていて安心しました。

 しかし、進行中の人質事件だからといって、議論できる部分はあるはずなのです。

 


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