レバノンがシリア難民受け入れを制限

2015.1.6


 BBCによると、国連はレバノンが内戦を逃れた亡命希望者の流入を遅らせることを狙い、シリア難民を制限したことを懸念しています。

 シリアとレバノンの間の旅行はかつては、ほとんど無制限でしたが、いまはシリア人はビザを得る必要があります。百万人以上のシリア人がレバノンにいて、ノハド・マクノウク内務大臣(Interior Minister Nohad Machnouk)は「これ以上受け入れられない」と言います。「我々は十分受け入れました。これ以上の難民を受け入れる余地はもうありません」と月曜の記者会見で言いました。

 新しい処置の下で、レバノンに入国しようとするシリア人は国境でビザを与えられるために、特定の条件を満たさなければなりません。かつて、シリア人は自動的に半年間、レバノンに留まることができました。マクノウク内務大臣の顧問、ハリール・ジェバラ(Khalil Jebara)は、レバノンは非常に限られた。特別なケースの難民を許可するだけだと言いました。

 バセム・シャーブ議員(Basem Shabb)は、レバノン政府はシリア難民を支援するために、できることのすべてをしたと言いました。「しかし、多くのレバノン人にとって、この状況が続けられないことも明らかです……なぜなら、レバノンがカオスに突入すれば、レバノン人だけでなく、最終的にはレバノンにいるシリア難民にも影響を与えるからです」。

 難民登録されていない大勢のシリア人がレバノンにいます。政府当局は、国内にいる彼らは強制退去させられないと言いました。レバノンの国連難民高等弁務官事務所のロン・レドモンド(Ron Redmond)は、過去6〜8ヶ月間にわたり、いくつかの処置がすでに難民登録を望む人たちの数を減らしたと言いました。しかし、国連は最も脆弱な人たちが通過できるように政府と共に解決しました。「政府は人道支援のアクセスは最大限許可しますが、それは過去数日間の発表ではカバーされないと言います」「我々は政府から、最も脆弱な難民が通過できることを確実にし続けられるように、いまシステムがどう機能するかを述べる公式のものが欲しいだけです」「政府は我々が待望し、すぐに手に入られると希望するとおりに、それは手に入るだろうと言います」。

 匿名のレバノン治安当局は、緊急の人道的事例はまだ許可され、シリア人は外国の大使館で亡命に適用される医療カテゴリと48時間ビザを利用できると言いました。

 レバノンの人口6,500人のマサハ(Mashha)には現在、3,500人の難民も居住しています。レバノンのどこででも、賃貸料はあがり、賃金は落ち、レバノン人は仕事がないと不平を言います。ある住民は「私は月に1,000ドルを稼いだものです」「彼らは私を首にして、代わりにシリア人4人を雇いました」。妬みは数週間前に爆発し、暴徒が国際慈善団体が建設した新しい難民キャンプを焼き尽くしました。マサハは大半の難民と同じくスンニ派です。シーア派とキリスト教の地区の至る所で、難民流入は派閥と宗教的な分割を拡大しています。


 記事は一部を紹介しました。

 シリアの隣国はかなり前から、難民の受け入れが限界に近づいていると言い続けてきました。今回はレバノンからそういう声が出たのです。

 難民はキャンプでじっとしているわけではなく、キャンプから出て働いたりします。すでに、難民の子供が危険な場所で労働させられているという報告もあります。こうした経済活動は当然ホスト国の労働力に打撃を与えます。難民は劣悪な労働条件、報酬でも働きます。これにより、ホスト国の労働者が打撃を受けます。怒りは難民へ向き、難民に対する暴力が発生します。これはいつでも起こり得る危険なルーチンです。

 そこで、難民を地域外へ移住させるという案が浮上してきます。ヨーロッパにはすでに一部の難民が移動させられています。アムネスティが日本を含むアジア諸国にも難民受け入れを要請していることは、先日紹介しました。

 どの国も、こうした大規模な内戦と難民に対する備えはありません。そういう哲学が存在しないので、対策はいつも遅れます。もちろん、国連や民間の支援団体はこの問題を研究し、その分野には支援の哲学が存在します。しかし、国家は自国民の利益を第一に追求するので、他国民の苦難までは考えようとしません。

 特に日本の場合、外交政策は常に「国益」を第一に検討されますから、他国の人間など面倒は見ないという傾向が非常に強いのです。次世代の党はとりわけ、そういう傾向が強い政党で、一定の支持を受けています。

 外国に行って支援活動を行う人たちへの理解もほとんどなく、2004年にイラクで日本人3人が拘束された時は、彼らが批判されるという本末転倒な事態が生まれました。

 しかし、いまや日本にも、そういう役割が求められているのです。それを日本人は理解して、少しでも協力する態勢を確立しなければなりません。

 


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