冬の嵐「フーダ」がシリア難民を直撃
BBCによれば、激しい冬の嵐が中東に氷点下の気温を運び、数百万人の難民の苦境に懸念が出ています。
雪が数十万人のシリア難民が生活するレバノンのベッカ渓谷周辺の山に降りました。冷たい風が吹き、テントをさらに固定し、氾濫に備える動きがありました。国連はヨルダンでの状況に強い懸念を抱き、追加の毛布を配布しています。
2011年に反乱が始まってから760万人がシリア国内で難民となり、330万人が海外へ逃げました。
数日間連続で予測される冬の嵐「フーダ(Huda)」が、降雪と氷点下の気温をレバノン、シリア、ヨルダン、トルコにもたらしました。イスラエル、西岸地区、ガザ地区も影響を受けました。
ベッカ渓谷では、数万人の難民がテントで、その他の多くの者たちは未完成だったり、暖房のない建物で生活します。雪は道を塞ぎ、多くのビジネスを閉鎖させました。
「非公式に定住している難民は強い寒気にさらられています。彼らのほとんどは暖かいストーブの横で暖を取るためにテントの中にいます」とUNHCR公報のリサ・アボウ・カリド(Lisa Abou Khaled)は言いました。「雪の重みで崩れるかも知れないと心配して、一部の人たちはテントの屋根から雪を取り去っています」
カリド氏はUNHCRとパートナーたちが、10月初旬に冬備えをはじめ、これまでに67,000家族の75%に支援を行ったと言いました。慈善団体「Oxfam」は、雪が溶けてテントが浸水し、難民が数日間清潔な水を手に入れていないことも懸念しています。
赤十字社筋は、シリア人男性と6歳の男の子の死体がレパートリー南部の山脈、アイン・アル・ジョズ(Ain al-Joz)で見つかったと言いました。レバノン治安当局は、彼らは徒歩で入国しようとして、寒さにやられたと言いました。
パレスチナ当局も、昨年のイスラエルとパレスチナ民兵の戦いで数万人が家を失った西岸地区とガザ地区に非常事態を宣言しました。
トルカレム難民キャンプ(the Tulkarem refugee camp)では、8ヶ月の幼児が暖房機が起こした火事で死亡しました。
イスラエル北部とゴラン高原にも豪雪が降りました。南部のエルサレムの学校も閉鎖されました。
シリアでは、首都ダマスカスは交通麻痺に近く、教育省は学校と大学は閉鎖すると言いました。
記事は一部を紹介しました。
冬になると、こうなることは分かり切っていました。毎年繰り返されていることだからです。戦禍を逃れても、天候との戦いが難民を待っているのです。
昨年こそは内戦を終わらせ、難民を帰国させるべきと考えましたが、イスラム国の台頭で不可能になりました。シリア内戦はより長期化することになったのです。これは本当にショックでした。
一体どれだけの悲劇やドラマが難民キャンプで繰り広げられているのか、私には見当もつきません。
暖かい部屋で、美味しい物を食べながら、自衛隊をもっと戦えるようにする議論をする日本人は、これが戦争の現場であることを知る必要があるでしょう。
安倍総理が主張する「積極的平和主義」という概念は、本来は意味が違います。Wikipediaから引用してみましょう。
平和学において、「積極的平和」は元来は単なる国家間の戦争や地域紛争がない状態に加え、社会における貧困や差別などがない状況を指している。「積極的平和主義」はそうした積極的平和を志向する主義を指している。
しかし、現在の自民党政権(第2次安倍内閣)が使用している積極的平和主義とは、平和学における積極的平和主義とは異なる意味で使われ、安倍政権の安全保障戦略の基本理念となっている。
安倍総理の「積極的平和主義」は、本来の意味とは違い、シリア難民などを保護するような行為を指す言葉なのです。このように、日本の安全保障議論では、言葉の定義すらいい加減で、そもそも議論の体を成していないのです。それを知らない裸の王様たちが闊歩しているのが、いまの日本なのです。
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