米軍は誤爆の病院をパキスタンの工作拠点と認識か
military.comによれば、10月3日に米軍がアフガニスタンの病院を空爆する前、米特殊作戦アナリストたちは、病院がタリバンの活動を調整するためにパキスタン人工作員が使っていると考えていたため、施設に関する情報を収集していたとAP通信は情報を得ました。
AC-130に病院を攻撃させた指揮官が施設が病院と気付いていたかや敵の活動があり得るとの主張について知っていたかは不明です。
事件に詳しい元情報当局者によると、情報部がパキスタン人工作員の位置を追跡し、上空からの監視に基づく活動報告の徴候に合わせて、特殊作戦アナリストたちは病院付近の地図を含む関係書類を集めていました。情報は病院がタリバンの司令部と統制センターとして使われ、重火器を収納しているかもしれないことを示しました。クンドーズ(Kunduz)を奪還しようとする戦いの中で行われた攻撃の後、一部のアナリスト達は攻撃が正当化されると評価したと元当局者は言いました。彼らは自国の統合情報局のために活動していたと思われたパキスタン人が死んだと結論しました。パキスタン人の関係や彼が死んだかに関して、これらの結論を裏づける証拠は公的に明らかではありません。情報当局者は匿名を希望しました。
アフガンの米軍最高指揮官、ジョン・キャンベル大将(Gen. John Campbell)は空爆は誤りだったとしましたが、どのように発生したかや誰が最終的な承認をしたかは正確に説明しませんでした。彼は議会にアフガンの全要員に攻撃が許容される環境下を統制する規則に関して再訓練するよう命じたとも言いました。
一般的に、航空支援任務を行うパイロットは病院やモスクのような保護された施設を示す地図を持っています。指揮官が保護された施設で敵が活動していると結論すると、彼らは民間人の犠牲が最小限になるよう定められた手順に従います。それは通常、地上軍で建物を包囲することを意味し、空から吹き飛ばすことはありません。
起こったことに関する米軍の概説は時間と共に変わりました。最初、軍は事件が戦争の霧から生じた事故のように説明しました。周辺の米軍が攻撃を受けたと、アフガンの米軍公報は米軍に脅威を及ぼす者たちに対して空爆が要請された、攻撃は近くの医療施設へのコラテラル・ダメージになったかも知れないと、声明で言いました。2日後、キャンベル大将は記者に、アフガン軍が敵の陣地から攻撃を受けており、米軍の航空支援を求めたと言いました。彼は「空爆はタリバンの脅威を取り除くために要請され、民間人が偶然攻撃された」と付け加えました。しかし数日後、キャンベル大将は上院軍事委員会で「決定は米軍の指揮系統の中で米軍が行いました。病院は偶然攻撃されました。我々は保護された病院を故意に狙いません」と言いました。米軍兵士の位置を尋ねられると、キャンベル大将は「我々はそうした攻撃を行う航空機と連絡する特殊作戦部隊を近辺に持っていました」と言いました。彼は地上にいるアメリカ人が病院を直接視認したかについて明確に答えませんでした。
元特殊作戦当局者によれば、地上にいる指揮官は建物から攻撃を受ける間、彼の軍歴の中で最悪の銃撃戦の中にいると上官に話しました。その建物が病院だったと彼は知りませんでした。彼はガンシップに攻撃を要請しました。この説明では、なぜ彼の部隊がすぐに撤退できなかった理由は不明です。
病院は一つの建物から出た火事を遮る12フィートの高さの壁で囲まれた施設の中にあります。病院でのタリバンの活動に関する情報を集めていた情報アナリストはアフガンの様々な基地にいて、機密の軍情報システムで情報を交換し合っていました。一般的に、人口密集地域での攻撃を命令する決定は何段階もの承認と潜在的影響と民間人の犠牲に関する情報分析を必要とします。
米情報部がパキスタン人のスパイがタリバンを助ける活動を続けていたと結論したなら、それは重要です。アメリカとアフガン両政府は長らくタリバンを支援しているとパキスタンを非難しましたが、アメリカとパキスタンの対テロ協力が改善すると、アメリカの批判は収まりました。それでも、病院職員がパキスタン情報部のために活動していた可能性は理論的にはあり得ます。攻撃の2日前、アフガン国防当局者はパキスタン情報部がクンドーズのタリバン支配地域で主要な役割を持っていると非難しました。
国境なき医師団のメイニー・ニコライ(Meinie Nicolai)は「アフガン人職員と外国人職員9人がいましたが、パキスタン出身者はおらず、病院で働いていませんでした。上級管理者を含めて、職員がパキスタン情報部のために活動していたことは、いかなるレベルでもそれを示すものはまったくありませんでした」。
空爆に関する米政府内の議論は以前にもありました。2013年12月、米軍統合特殊作戦司令部は民兵と思われた人々を爆撃しましたが、外部団体は結婚式に出席した民間人だったと主張しました。攻撃で民間人数名が死亡したとCIAが評価した後ですら、米国防総省は攻撃した者全員が戦闘員だったと主張し続けました。この事件はCIAの無人攻撃機の暗殺計画を軍隊へ移行するというオバマ大統領の提案に抵抗する議会の一部議員に議論を起こしました。
記事は一部を紹介しました。
なぜこうも話がコロコロと変わるのかが分かりません。記事中の「戦場の霧」とは戦場にある不確実要素のことで、ここでは戦闘の混乱に巻き込まれて、誤爆が起きたということを意味します。ところが、情報部局がパキスタン人工作員がいると判断していたという話です。
しかし、この情報収集が直接空爆の決断につながったのかは不明です。話を聞く限りは、あまり関係はないように思えます。
少数の米軍特殊部隊がアフガン軍に同行しており、アフガン軍の要請があると彼らがAC-130に空爆を要請していました。彼らは最前線に近い場所にいて、建物から激しい銃撃を受けたのは間違いがなさそうです。米軍が最初に米軍が攻撃を受けていたという説明は、この特殊部隊の報告に基づいているのかもしれません。しかし、アフガン軍特殊部隊も空爆を要請したと言っていますから、同時期にアフガン軍から要請があったと考えられます。そのため、説明はアフガン軍から空爆が要請されたと変更されました。
しかし、国境なき医師団の建物から実際に攻撃があったとは考えられません。攻撃された中央棟の他に、周りには少数の小さな建物しかありません。空爆は明らかに大きな中央棟を狙っており、ここにタリバンがいて激しく攻撃していたのなら、医師団に分からないはずがないからです。建物は長さが100m程度です。重火器を使えば必ず音が聞こえます。普通に医療活動を行える状態ではありません。
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やはり、最初に推測したように、タリバンがいたのは別の建物で、そこと間違えて病院を爆撃したように思えます。この場合、地上の特殊部隊がいつまで経っても爆撃が行われないのに催促しなかったことになり、その理由の説明はつきません。病院が爆撃されているのが見えてもおかしくない距離にいたはずで、誤りが1時間も訂正されなかった理由が分からないということになります。
パキスタン人工作員の話は意図的にリークされたように思えます。この件が報告書に書き込まれるために、事前に公表しておいたのでしょう。しかし、狭い建物の中で工作員が何をしていたのかも疑問です。無人偵察機で工作員に似た男が建物に入るのが確認されたのかもしれません。その前には携帯電話の通話を傍受し、工作員がこの近辺にいることが確認されていたのでしょう。しかし、そこに重火器もあったという話ですから、やはり、病院ではない別の建物と病院を混同した可能性を考えてしまいます。
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