ロシアがシリアで着々と地歩を固める
alarabiya.netによれば、ロシアが刻限までに書類を提出しなかったため、ブルガリアはシリアへ人道支援物資を運ぶロシア機が自国空域を通過することを拒否しました。
外務省広報官は「我々は法定期限が守られなかったのでアクセスを拒否しました。我々は10月14日午後に今日行うための飛行の要請を受け取りました。そうした要請は少なくとも5日前までに提出される必要があります」と言いました。
alarabiya.netによれば、ロシア国防省は金曜日、シリア上空を安全に飛行することでアメリカと合意するために必要な専門的問題すべてに合意し、近い将来に覚書に署名すると言いました。
「専門的問題すべてはすでに合意し、ロシアとアメリカの法律家が現在、書面の文面をクロスチェックしています」とアンドレイ・カータポロフ上級大将(Colonel-General Andrei Kartapolov)は言いました。「我々はこの書面がごく近い将来に署名されることを望みます」。彼はロシア政府は依然として、シリアに関しては、アメリカとその他の国と境界線での協力をすることを望んでいると言いました。
alarabiya.netによれば、シリア軍とヒズボラとイラン人戦闘員は土曜日によってアレッポ市(Aleppo)周辺を奪還する攻勢で前進しました。
シリア軍が金曜日に開始したアレッポ周辺の作戦はアサド政権を支援するためにロシアのジェット機が9月30日に開始して以来、反政府軍に対して行った数回の攻撃の一つです。それはアレッポ市そのものよりも、その南部の反政府派の地域を掃討することに集中しています。街は2百万円が住み、政府軍と反政府軍が二分しています。
人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、とシリア軍と同盟者は少なくとも過激派17人を殺し、シリア軍と同盟の8人を負傷させた激戦の中、村3カ所を奪還しました。
シリア軍はイスラム国などが占拠する基地を包囲するためにアレッポ東部とクワイレス軍用空港(Kweires)へも前進しています。
ヒズボラのテレビ局「Al-Manar」は、シリア軍がクワイレスへの途中にあり、激戦が続くフアイジャ村(Huwaija)を占領したと報じました。
シリア軍はここ数ヶ月で反政府派が占領した北部の州、ハマ州(Hama)、イドリブ州(Idlib)、ラタキア州(Latakia)と首都ダマスカス市(Damascus)周辺のホムス市(Homs)、南部のダレア州(Deraa)の一部を奪還するためにも戦っています。
人権団体はホムス市の一部のタルビシア(Talbiseh)周辺で戦いがあると報告しました。ホムス市は過去2週間でロシア軍ジェット機により重爆撃とシリア軍と同盟の民兵により地上戦を受けていると言いました。団体は過去48時間でホムス市の攻撃において子供と女性31人を含む少なくとも72人が殺されたと言いました。
なお、別の進展で、alarabiya.netによれば、イラクではバイジ(Baiji)をイラク軍が奪還したようです。
記事は一部を紹介しました。
ブルガリアの記事は15日付けでした。この記事はロシアからシリアへの空路のアクセスの問題を想起させます。
他国の空域を通らずにシリアに来るのは困難です。イランは通過させてもらえますが、トルコとイラクは無理です。先日、巡航ミサイルを通告なしに撃ったのは、このルートを通るためでした。事前に言えば拒否されたでしょう。ブルガリアとギリシャを通るルートもあります。1944年にソ連に侵攻されてからは共産主義国でしたが、いまやEU加盟国です。
つまり、アサド政権を支援するためには、航空機をシリア国内に運び込まなければならないのです。反政府派にこの航空機を奪われないために、空港を守るに十分な地上軍も置く必要があります。シリア軍も戦ってくれるでしょうが、ロシアとしては依存する気はありません。
それがいま、ロシアがシリアでやっていることです。実に論理的で筋が通った作戦です。成功する作戦はその要素を持っているものです。
テロリズムとの戦いは国家同士の戦いと違い、終わりがないと指摘されています。ロシアもそういう戦いに足をつっこんだように見えます。しかし、アメリカなどと違い、アサド政権を存続させ、この地域に友好国を維持するという政治目的を達成できます。その他の国はボランティアに近い立場です。アサド政権さえ存続させられれば、あとはシリア人がイスラム国と戦えばよい。シリア中部から北部を取り戻せば、目的は達成されると考えているはずです。
アメリカとロシアが合意したというシリア上空の安全確保について、内容はまだ明らかではありませんが、署名後には明らかになるでしょう。
アレッポ周辺で地上戦が始まっています。アメリカは急遽、武器を空中投下して自由シリア軍を支援しているようです。非常に心配な状況です。まとまりのない自由シリア軍に比べ、イラン兵やヒズボラは統制がとれています。さらに航空支援があるのです。事態が悪化するので、西側諸国はロシア軍戦闘機を撃墜はできません。地対空ミサイルを自由シリア軍に貸与するのは論外です。万一、テロリストの手に渡れば何に使われるか分かりません。また、貸与は米ロの対立構造をハイライトします。自由シリア軍が自力でシリア軍らの攻撃を撃退するシナリオが理想的です。しかし、そうなるのかは疑問です。
先のことは分かりませんが、今のところ、ロシアの軍事活動はうまく行っています。日本のだらしない「自称安全保障政策」とは雲泥の差です。
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