航行の自由作戦の一部が明らかに
産経新聞によれば、航行の自由作戦は現地時間の27日午前6時40分ごろに始まりました。
米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」は、スービ(渚碧)礁などの12カイリ(約22キロ)内を北から南西へ約5時間、133キロにわたり航行した。
ラッセンはまた、フィリピンやベトナムが領有権を主張する複数の岩礁の12カイリ内も航行し、「公明正大さ」も示した。
記事は一部を紹介しました。
この記事からラッセンがどこを通過したのかを考えてみました。渚碧礁とその北東にあるパグアサ島(フィリピンが支配中・kmzファイルはこちら)、さらに北東のサウスウエスト島(ベトナムが支配中・kmzファイルはこちら)の領海の少し内側を通ると下の図のようなコースになります。真っ直ぐ通過したのか、どこかでUターンしたのかは不明ですが、真っ直ぐ通過した場合を考えました。5時間で133kmを航行したのなら時速26.6kmで、ラッセンの最大船速時速約57kmの半分程度だったことになります。
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誤解している人がいるかも知れませんが、中国が滑走路等を持つ人口島を建設していると騒がれている永暑礁(ファイアリー・クロス礁・kmzファイルはこちら)はまったく別の場所です。中国は渚碧礁も埋め立てて、滑走路を造ると予測されています。両方の場所は約200km離れています。ラッセンは作戦を終了すると面舵をとり、公海へと移動したと考えられます。
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やっと、今回の作戦の概要がつかめた感じです。作戦の内容を確認せずにコメントするのは避けたいので、情報を整理してみました。
米政府はアメリカは南沙諸島の領有問題に直接介入する気はなく、航行の自由を確認することが目的だと声明しています。日本国内ではすでに、この地域に海上自衛隊を派遣しろとの意見もあるようですが、南沙諸島の領有問題は複雑に入り乱れていて、他国が介入するのは極めて危険です。シーレーンを守れという声も聞こえていますが、ここは中国に行く船も通る場所です。ドイツが大西洋で潜水艦作戦を展開したのとは状況が違います。
なお、military.comの記事に今年5月にP8-A「ポセイドン」が永暑礁の近くを飛行して偵察活動を行った時のビデオ映像が掲載されています。
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