米軍が誤爆の初期説明を修正

2015.10.6


 military.comによれば、同盟軍の最高指揮官ジョン・F・キャンベル大将(Gen. John F. Campbell)はアフガニスタンで国境なき医師団を殺傷した米軍の空爆について、タリバンの銃撃を受けているというアフガン軍の要請を受けたと述べました。

 キャンベル大将は急遽開かれた米国防総省での会見で声明を出しました。彼は空爆が米軍に対する脅威へ対応するために行われたという初期の声明を修正していると言いました。「我々は10月3日に、アフガン軍が敵の陣地から銃撃を受けていると知らせ、米軍に航空支援を求めたことを知りました」「それから空爆がタリバンの脅威を取り除くために要請され、数人の民間人が偶然に攻撃されました。これは米軍が脅威を受け、空爆が彼らのために要請されたという初期の報告と異なっています」。

 修正された説明は病院が誤って攻撃目標とされたのか、米軍がその他のミスをしたのかを明らかにしません。「誤りが犯されたのなら、我々はそれを認めます」とキャンベル大将は言いました。彼はさらに詳細を提供せず、軍の調査が進行していると言いました。彼は調査官から、空爆を要請したのがアフガン人で、アメリカ人ではないことをしらされたと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 空爆がアフガン軍からの要請だったことは、アフガン軍が位置を間違えて連絡したとか、通訳が誤訳した可能性が出てきたことを意味します。アフガン軍が病院の位置への攻撃を要請したとは考えられません。そして、現場には国境なき医師団の病院の位置が知らされていなかった可能性も意味します。分かっていれば、要請を受けた時点でAC-130乗員が疑問を感じたはずです。

 それにしても、被害者が航空機の音を聞くほど接近して攻撃したのですから、現場は明瞭に確認できたはずで、武器を持ったタリバンを確認して攻撃したのかも気になります。

 タリバンがアフガン軍に直接的な脅威だったのなら、病院職員も銃声や爆発音を聞いたはずですが、そのような報告は今のところ一つもありません。これは近くで戦闘が起きていなかった可能性を示します。戦闘がすぐ近くまで迫っていたら、彼らは撤退を考えたかも知れませんが、そういう話はまったく聞かれません。現場を撮影したビデオ映像もあり、彼らが驚異を感じていたらしい徴候がないのです。

 おそらく、原因はかなり大きな勘違いであり、それが悲劇を引き起こした可能性を考えます。

 クンドーズは攻撃される前までは政府側の支配地域でした。タリバンが攻撃を始めても彼らは撤退せずに治療を続けていたのです。もしかすると、病院は攻撃しないとタリバンと交渉してあったのかも知れませんが、戦闘中にも治療を継続した勇気は称賛されるべきでしょう。

 


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