パリの虐殺を不安視する米治安当局
military.comによれば、金曜日にパリで起きた虐殺は、米司法省が米国内で米軍人に対するイスラム国に触発された攻撃を警告した翌日に行われました。
ジョン・カーリン司法次官補(Assistant Attorney General John Carlin)は木曜日、オハイオ州の男が逮捕された後に、イスラム国が米国内で軍人を攻撃するよう支持者を急き立てるためにインターネットのプロパガンダを使おうとしているという警告を出しました。「ISILとその支持者はアメリカを含めた世界中で暴力を触発しようとしてソーシャルメディアを使い続けます」とカーリンは声明で言いました。「国家保安機関の最優先事項は対テロリズムであり、我々は兵士すべてを我が軍の隊員とその家族に対する脅威と暴力の行使を阻止するために使うでしょう」。
カーリンはオハイオ州アクロン(Akron)のテレンス・マクニール(Terence McNeil・25歳)がイスラム国を支援した嫌疑、隊員の個人情報を流し、彼らを殺害するよう要請した容疑で逮捕された後に警告を出しました。マクニールは暴力犯罪教唆1件に問われています。「米軍人の個人情報の詳細を流布し、米軍人を自宅や周辺社会で殺害するよう明白に要請して、テレンス・マクニールはISILの暴力的なレトリックを広めることで我が軍のメンバーを殺害するよう要求しました」
木曜日、米国防総省の記者会見で、ピーター・クック報道官(Peter Cook)はマクニールが逮捕されたことを指摘し、「我々は軍人に対するいかなる脅威も深刻に扱うと繰り返して言います。そして、我々は軍服を着た男女を守るため、思うままにすべてのツールを使い、その他の機関と協力します」と言いました。
パリの攻撃は米対テロ当局の最悪の不安、シリアから市民権を持つ国へ舞い戻ったにイスラム国に触発された急進派による、いわゆる「ソフトターゲット」への攻撃、を総括したように見えました。
記事は一部を紹介しました。
パリのテロ事件に関しては、すでに様々に報道されているので、当サイトでは触れません。
まず、この事件は、ここ数年のフランスの優柔不断な態度が招いた可能性があることを指摘します。当サイトでは3年ほど前から、シリアで人権弾圧を防ぐためには空爆で自由シリア軍を支援することが重要だと言い続けてきました。そうしないとシリア政府による反政府派への弾圧を止められないと考えられたからです。しかし、フランスはずっと知らぬ顔を決め込んできました。大国は自国の国益に関心が高く、あまり関係のない国の惨状は無視しがちです。しかし、アルカイダがシリア内戦に参入したことを重要視しして、この内戦を早期に終わらせる努力をすべきでした。アルカイダから分派したイスラム国が首都を攻撃する前にです。
今回の事件で、フランスは対テロの強硬派へと姿を変えるでしょう。顔を殴られて黙っていれば、威信が傷つくというものです。アメリカの同時多発テロでは一歩退いた姿勢を示したフランスも、自分が殴られると顔色を変えます。
こうしたイスラム国が思うとおり、フランスを戦いに引きずり込み、思う存分戦える環境が整います。次はドイツを引き込めば、NATO諸国をほぼ相手とできることになります。
攻撃されたレストランがすし屋だったとの未確認情報があります。これが本当なら日本も引き込む理由となります。そうでなくても、事件後の報道を見ていると、すでに日本は対テロ戦に参入するような勢いです。いま政府が対テロのために国民の権利を一部停止すると言い出しても、反論できない雰囲気が形成されつつあります。
先日の参議院予算委員会で、山谷えり子(自民党)からの質問に対して、安倍首相は、来夏の参院選後に行う改憲について答え、「緊急事態条項」を創設したい考えを示しました。憲法で、緊急事態に政府の権限を強化するための条項で、これはいわば独裁条項です。こんなものはなくても国は守れるのですが、不安症気味の日本人には特に効き目があります。 「デモや集会なんかよりも、いまは国の防衛だ。反対する奴は取り締まれ。何が悪い。俺は純粋に国を守ろうとしているだけだ」となるわけです。
というわけで、私は今回のテロ攻撃があっても、特別にコメントを出そうとは思いません。それはいま書いたような流れを招致するだけです。今回程度のテロ攻撃はリビアなどでも起きています。我々はそれを知らぬふりをしているだけです。それがテロを拡大させることには目をつぶっているのです。
ところで、安倍首相がG20に出席するためにトルコにいますが、邦人救出のために政府専用機をフランスに移動させたという話を聞いていません。首相は民間機で帰国すればよいので、危険にさらされている日本人を帰国させるために政府専用機を使うという発想はないのでしょうか?。日頃、危機管理だ、邦人救出だと騒ぐ安倍政権が、いざ本当の危機が起きた時に何もしないなんてあり得ませんよね?。でも、防衛省のウェブサイトにはそれらしい記述はありません。下記のとおり、政府専用機はトルコにいったままとしか書いてありません。(該当ページはこちら)
11.13(金) 東京国際空港 発 → トルコ共和国(イスタンブール) 着
11.14(土) トルコ共和国(イスタンブール) 発 → トルコ共和国(アンタルヤ) 着
11.17(火) トルコ共和国(アンタルヤ) 発 → 東京国際空港 着
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