米露が対テロで合意も残る不安

2015.11.16


 alarabiya.netによれば、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は日曜日、ウラジミール・プーチン大統領(President Vladimir Putin)にシリアで過激派と戦うことに集中するよう要請すると同時に、イスラム国を殲滅する活動を増やし、パリで起きたような事件を防ぐと言いました。

 ホワイトハウス当局者は、オバマ大統領とプーチン大統領がトルコのG20会合のサイドラインとして行われた35分間の会談で、シリアにおける政治的移行の必要性で合意し、パリでの事件がそれをさらに促したと言いました。

 2日間のサミットはオバマと世界の指導者をシリアから僅か500kmに運び、シリアの4年半の内戦はイスラム国を世界平和への脅威へ姿を変え。第2次大戦以降、欧州最大の移民流入を拡大しました。

 オバマ大統領は急進的なスンニ派民兵グループが犯行声明を出した、パリで120人以上を殺した金曜日の事件を文明世界への攻撃とよび、犯人を捕まえるためにアメリカはフランスと共に活動するといいました。「ちょうど一日半前にパリで行われた恐ろしい攻撃で空は暗くなりました」と大統領は言いました。「我々は活動を倍増させ、同盟国の他のメンバーと共に活動し、シリアで平和的な移行をもたらし、パリで、アンカラで、そして世界のどこかでさらなる苦痛と犠牲を人々に強いたダーイシュ(イスラム国のこと)を殲滅します」。

 米主導のイスラム国との戦いは、ロシアが紛争に1ヶ月半前に参入して、イスラム国よりもロシアの同盟者であるアサド大統領と戦う外国が支援する戦闘員がいる場所を主に狙った時にさらに複雑になりました。

 アメリカ、トルコとその同盟国はアサド大統領の追放を望んでいます。

 オバマは会談を兼ねた昼食でプーチンと会い、2ヶ国は国連が仲介する会合を含めて、シリア主導の移行が必要だと合意したと、ホワイトハウスは言いました。プーチンはオバマと広範囲に話し合ったと、ロシアの通信社はロシア政府の外交顧問、ユーリ・ユシャコフ(Yuri Ushakov)の言を引用しました。「イスラム国に対する戦いに関する戦略的目的は、原則的には非常に似ていますが、戦術面では相違があります」と彼は言いました。

 彼らの会合はウィーンにおける進展を基盤としています。土曜日にウィーンで外務大臣達は、アサドの役割に関する意見の相違は残るものの、2年以内に選挙を行うため、シリアでの政治的プロセスの計画を概説しました。


 記事は一部を紹介しました。

 この合意はそれほどの意味は持たないでしょう。ウィーンでの外務大臣会合で決まったことについて、元首同士が再確認をする必要があっただけです。また、昼食を兼ねた会談という非公式な場での話し合いにしたことも、それを裏づけています。互いに認識は共有するものの、強い拘束力は持たないということです。さらに、オバマはロシアに穏健派ではなくイスラム国を攻撃するよう求めていますから、互いの不信感は解けてはいません。

 ユシャコフが言うように戦術面だけが違うのではありません。ロシアにとって、アサドを権力の座に置くことは戦略的な最終目標です。シリア反政府派とアメリカ等多数の国はアサドの追放を望んでいます。戦略面自体が相容れないのです。

 普通に考えて、この合意は成就しがたいのです。

 


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