病院誤爆は度重なるミスが生んだ？

　military.comによれば、先月、30人を殺したクンドーズ（Kunduz）にある国境なき医師団の病院を誤爆した事件の報告・勧告書が完成し、駐アフガニスタン米軍司令官は、米特殊作戦の航空・地上要員数人が解任されたと言いました。

　「アメリカより民間人の犠牲を避ける国はありませんが、我々は10月３日、我々の高い基準を満たせませんでした」と、ジョン・キャンベル陸軍大将（Army Gen. John Campbell）は言いました。「これは悲劇でしたが、主に人為的エラーが起こした避け得た事故でした」。

　キャンベルの指揮外のウィリアム・ヒックマン陸軍少将（Army Maj. Gen. William Hickman）が指揮した調査は潜在的に軍事裁判になり得るものでした。

　国境なき医師団は声明で「エラーの恐ろしいカタログが今日、米軍の一部による目に余る怠慢と戦争の規則違反を描きました」と言いました。

　カブール（Kabul）での記者会見で、キャンベル大将は可能性がある司法手続きに不適切な指揮上の影響を避けるために言葉を選びましたが、「事件に最も関与した個人数名は任務を解き、審議、管理上の処分、懲戒については保留中です」と言いました。キャンベルと国防当局者は何人が解任されたかは言いませんでしたが、米軍筋は１ダース程度と言いました。

　キャンベルはクンドーズの地上にいた特殊部隊指揮官の名前を言いませんでした。彼は統合末端攻撃統制官（JTAC）からの間違った目標情報を頼り、それを確認しなかったとされます。ニューヨークタイムズ紙は、クンドーズの特殊部隊大尉が水曜日に指揮を解任されたと報じました。

　キャンベル大将は声明を読んだ後で去り、質問に答えませんでした。キャンベルの後、ウィリアム・ショフナー陸軍准将（Army Brig. Gen. William Shofner）が質問に答えました。

　キャンベル大将は10月３日朝のクンドーズの状況を混沌としていたと言いました。タリバンが街を占領しました。アフガン軍を支援する特殊部隊チームは少なくとも５日間戦闘に関わっていました。

　初期の被害報告は少なくとも22人が殺されたと言いましたが、米戦闘被害評価チームは医師団が言う死亡30人、負傷37人を確認しました。医師団は死者には職員13人、患者10人を含むと言いました。

　医師団はAC-130が少なくとも５回通過し、空爆が約１時間続いたと言いました。調査は空爆が約29分間続いたと言いました。

　キャンベルは「報告は空爆が人為的エラー、システムによる複雑化、手続きの不履行の直接的結果だったと特定しました」と言いましたが、悲劇は誤りの結果であり、米軍に病院を攻撃する意図はまったくなかったと強調しました。「米軍は決して意図的に病院やその他の保護された施設を攻撃しません」。

　調査はタリバン工作員が病院から発砲していたかも知れないというアフガン当局者の主張に言及しませんでした。医師団は主張を強く否定しました。

　キャンベル大将が概説した誤りは、空軍特殊作戦軍のAC-130が離陸する前に始まりました。航空機は兵が交戦状態になったのに対応するため、69分間早くに離陸しました。その結果、航空機は通常の任務説明を行わず、医師団の病院の位置を特定する攻撃不可指示を含めた重要な任務関連の情報を手に入れなかったと報告書は言いました。

　その後、AC-130は交戦事案からクンドーズへと転用されましたが、戦闘中に電子システムが故障し、必須の指揮統制能力が稼働せず、航空機がビデオ映像を送信し、電子メールの送受信、電子メッセージの送受信をする能力が失われました。

　地上では、米特殊部隊の指揮官がアフガン軍がアフガンの情報機関、国家治安局（NDS）が占有した建物を攻撃するために近接航空支援の要請を受けました。タリバンが建物を占領していると信じられ、それは病院から数百メートル離れていました。NDSの建物はAC-130の目標でした。

　JTACを通じて米特殊部隊指揮官がNDS本部の正確な座標を航空機に提供しました。しかし、乗員が座標を火器統制システムに入力すると座標はNDSから300メートル離れた開墾地と結びつけられました。

　調査将校は乗員が開墾地に最も近い大きい建物、医師団の病院を視覚的に見つけ出したことに気がつきました。AC-130は一連の攻撃を始めました。

　乗員は開墾地の近くの大きな建物というJTACの説明に基づいて、病院を本部と結論しました。

　痛ましいことに、この誤認は作戦の残りを通して、矛盾する兆候があったにも関わらず続きました。

　AC-130が攻撃する１分前、乗員はカブールにあるバグラム空軍基地（Bagram）の作戦司令部に目標を送信しました。彼らは病院の座標を提供しました。司令部は病院の座標を承知しており、攻撃不可リストにアクセスしていましたが、座標が攻撃不可リストの位置に合致していることや乗員が病院を攻撃しようとしていることを認識しませんでした。

　声明で医師団は「今日報告された事件のアメリカ・バージョンは医師団を答えよりも、より多くの疑問を抱かせたままにします」と言いました。

　記事は一部を紹介しました。

　報告書が完成し、それに先だってキャンベル大将が記者会見を行ったということです。皮肉な気もしますが、これは米軍が情報公開で最も進んでいることを示しています。他の軍はここまでしません。

　しかし、読んでいて、これほど腹が立ち、憤りを感じ、呆れた記事もまたありません。それも、初期報道から予測したことにかなり近いようです。別の建物と誤認したのではないかという予測です。

　NDSの建物がどこかは、この記事からは特定できませんでした。いくつか周辺に大きな建物はありますが、これと絞り込むことができません。

　急に離陸することになったことは決定的な理由でしょうか？。何日も戦闘が続いていたのなら、病院の位置は頭に入っていたはずです。映像・ネットワーク機器の故障はあまり関係がないように思えます、司令部にビデオ映像を送れても、それが病院だと気がつかない可能性の方が高そうです。

　しかし、座標を入力したら別の場所が示され、それが誤爆を招いたという部分が気になります。AC-130では、こういうことがよく起きるのでしょうか？。だから、乗員は疑問に感じなかったのではないでしょうか？。本来なら、座標の位置に建物が見えるはずです。

　空爆が行われた時間は医師団が言う１時間は長すぎる気がします。被害状況の写真から見ると１時間も空爆を続けたとしては被害が小さいように思います。また、本来攻撃すべき場所に１時間待ってもまったく攻撃が行われないのですから、JTACがおかしいと気がつくはずです。29分間でも間違いに気がつくのに十分な時間です。彼は何をやっていたのでしょうか？。 しかし、医師団が攻撃の時間を勘違いするとも考えにくい話です。この謎はいまは解けません。

　この事件では裁判はないと思っていましたが、処罰があり得るようです。確かに怠慢が大きすぎます。特にAC-130の乗員が酷いですね。