トルコがシリア空爆を一時停止と露軍機撃墜の理由
military.comによれば、NATO加盟国のトルコはロシア軍用機を撃墜し、ロシアと大きな対立を起こした後、一時的にシリア国内でイスラム国への空爆を停止しています。
トルコ軍のF-16は火曜日にロシアの軍用機を領空侵犯をしたといって撃墜しました。ロシアは木曜日、トルコ経済に対する報復的な措置を取ると宣言しました。
イスラム国と戦う米主導の同盟国であるトルコは、さらなる危機を避けるためにシリアでの空爆を中止したと、「the Hurriyet」は報じました。「両者は緊張を緩和するために対話チャンネルを再確立するまで用心深く行動することで合意しました」と治安筋は言いました。
金曜日、アフメト・ダウトオール首相(Prime Minister Ahmet Davutoglu)は、イスラム国に対して統一しようと要求し、ロシア政府との緊張を緩和しようとしました。「領域を守るための手段はそのままですが、トルコは緊張を緩和するためにロシアと我が同盟国と共に活動します」とダウトオール首相はイギリスの「The Times」に書きました。「トルコ空域で未確認機を撃墜することは、特定の国に対する行為ではありません」「国際社会は孤立主義になるべきでありません。そうでなければ、唯一の勝者はダーイシュ…そしてシリア政府です」「焦点はダーイシュがもたらす国際的な脅威に正面から取り組むこと、シリアの未来の安定化、現在の難民危機の解決を模索することでなければなりません。
alarabiya.netによれば、トルコ軍機がロシア軍機を撃墜する前、シリア北西部でのロシアによる空爆はトルクメン人の地域を重点的に狙ったことはロシアとトルコの対立を説明します。
トルコは航空機が空域に迷い込んだと言い、ロシアは否定します。そのずっと前、トルコはシリアのラタキア州(Latakia)の町と村、シリア系トルクメン人(トルコ人の先祖のシリア人)の地域をロシアが爆撃したことを非難しました。ロイターが照合したロシア国防省のデータは、プーチン大統領が9月30日に開始するよう命じてから、少なくとも17カ所の地名のあるトルクメン人の地域にある場所を空爆したことを示します。データによれば、ロシアのミサイルはアラウィ派(Alawite)の山岳地帯の西にあるサルマ(Salma)、ガーマン(Ghmam)、ケスラドシュク(Kesladshuq)にある弾薬壕、指揮所、自爆爆弾工場を破壊しました。トルクメン人の人口密集地、サルマは少なくとも8回爆撃され、最も地理的に集中的な攻撃のいくつかはその中心部にみられました。ロシア軍機は街の13km圏内の異なる場所15カ所を攻撃し、それはアサド大統領と戦うトルコが支援する反政府派の基地として使われています。シリアのトルクメン最高評議会の長、サミル・アロ(Samir Alo)は「撃墜される前、ロシア機はトルクメンの村を重爆撃しました」「沢山のトルクメン人の家族が国境へ追いやられました」と言いました。
シリア系クルド人指導者は金曜日、トルコ政府がロシア軍爆撃機を撃墜したのは、支援するグループが領域を失っていたからだと言いました。トルコ政府高官は「トルクメンはトルコの少数民族の一族ですが、世界はより大きな問題が危機にさらされていることを知るべきです」と言いました。「我々は反イスラム国道名画こうした爆撃により弱体化されることをとても心配します」「実際にイスラム国と戦うこれら反政府派を爆撃することでどうやってイスラム国に対する作戦を行えますか?」。
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(Turkish President Recep Tayyip Erdogan)は、ラタキア州とその北にイスラム国はおらず、そこはロシア軍の爆撃とシリア軍によって攻撃目標とされていると、今週繰り返し言いました。彼はトルクメン人も含んでいるはずの穏健派シリア反政府派300人が1ヵ月で死んだといいました。
トルクメン人は中世に十字軍と戦うイスラム教の活動の一環として移動して以来、シリア北西部に住んでいました。当局者はラタキア北部に300,000のトルクメン人が住んでいたと言いましたが、トルコのNGO「IHH Humanitarian Relief Foundation」のシリア担当者は内戦の結果、残存するのは約25,000人だと言いました。
10月にロイターのアナリストは、作戦最初の3週間、シリアでのロシア軍の攻撃目標の80%はイスラム国以外のグループに対してだったことを見出しました。ロシア国防省は最新のデータについてロイターが提出した質問に答えませんでした。
記事は一部を紹介しました。
トルコとロシアの対立を面白がってみる人もいるようです。しかし、この記事で両国は水面下で沈静化を図っているらしいことも分かります。「両者は緊張を緩和するために対話チャンネルを再確立するまで用心深く行動することで合意しました」という治安筋の情報です。ロシアがトルコに経済制裁を課すと、それはロシアにも跳ね返りがありそうです。軍事的制裁でなく経済制裁であることが、すでに緊張緩和の兆しですが、ロシア経済への悪影響もあるので、あまり深くは追求できないはずです。
トルクメン人保護のためでもある今回の迎撃ですから、トルコ空軍機はシリア空域に入ると、ロシアからはトルクメン人を空爆するロシア軍機を攻撃する態勢ともみられます。そこで、トルコ領空から出ないと宣言したわけです。ロシアもトルコ領空には手出しができません。
トルクメン人の領域にはイスラム国はいないはずですので、トルクメン人を守ることはイスラム国との戦いにはあまり関係がありませんん。トルクメン人が反イスラム国グループに加わって、遠征する可能性はありますが、むしろシリア軍と戦っているはずですから、トルコ筋の主張はやはり事件を正当化するためのものでしょう。
イスラム国と戦うといいながら、シリア軍の敵であるトルクメン人を攻撃するロシア軍にも同じことがいえます。それにしても、トルコがトルクメン人を守る意志を知りながら、ロシア軍機はよくも領空侵犯をしたものだと思います。短時間通り抜けるだけだから撃ってこないと考えたのでしょう。しかし、外側に突出した空域をどう飛び、攻撃するかは常にトルコ空軍の研究課題であることに気がつかなければなりません。
結局、どの国も自分に都合がよいことを言い、都合が悪いことは見えていないふりをするのです。こういう動きがイスラム国を利することだけは確かです。
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