シリアでクラスター爆弾が大量使用の報告
military.comによれば、人権団体「Human Rights Watch」は日曜日、シリア政府と同盟国のロシアが9月以降、反政府グループに対して大量のクラスター爆弾を使ってきたと言いました。
人権団体は報告書の中で、9月30日にロシア軍とシリア軍が攻撃を開始して以来、20回の出来事においてクラスター爆弾を使ったと記録したと述べました。報告書は「女性5人、子供17人を含む民間人35人を殺し、多数を負傷させた9カ所での攻撃に関する詳細な情報を収集した」と言いました。すべての爆弾はロシア製や元ソ連で造られました。報告書でオレ・ソルバング(Ole Solvang)は「クラスター爆弾が国のあちこちで民間人を攻撃し続ける時、シリアの無差別兵器に関する約束はうつろに響きます」と言いました。ソルバングは国連がすべての側がクラスター爆弾の使用を止めるよう公に要請することで、シリアの民間人を守る責任に真剣になるよう求めました。
記事は一部を紹介しました。
シリアでクラスター爆弾が使われていることは、繰り返し報道されてきました。今回、報告書がまとまったということです。
シリアとロシアはクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)に参加しておらず、両国が使用しても国際法には違反しません。実はアメリカ(中国もですが)もこの条約に参加していません。しかし、クラスター爆弾の使用を問題視する記事が書かれることから、使用に配慮する意見がアメリカに多いことは分かります。
記事中の「シリアの無差別兵器に関する約束」が何を指すかは分かりませんが、シリア政府が無差別兵器は使わないと述べたことがあるのでしょうね。
先日、人権団体「the Syrian Observatory for Human Rights」の報告の問題点を指摘しましたが、他の団体の報告でもシリアとロシアが容赦ない手段で民間人を殺傷していることは明らかです。放置すべき問題ではありませんが、対テロ戦という大義名分の下に軽視されているのは否定できません。すべてはアメリカの同時多発テロに対するブッシュ政権の誤った対処が生んだ化け物です。テロリストが容赦ない手段で攻撃するなら、こちらも同じことをするだけだというマッチョ型思考が、各国に自分たちへの敵に対する凄惨な攻撃を容認させたのです。これだから、戦争を研究したことがない人物が国家指導者になるのは危険だというのです。私が安倍晋三を危険視するのは、こういう理由です。
対テロ戦以降、戦争のやり方が過激になっています。主要国が率先してそういう行動をとっていることは、世界の混乱を悪化させることにしかつながりません。どこかがそれを引き戻す役目を果たさない限り、状況は悪くなり続けるでしょう。
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