国防総省がサイバー攻撃の増加を検討
military.comによれば、米国防総省は、過激派グループのコンピュータ、サーバー、携帯電話を作動させなくするためのより攻撃的な活動がその宣伝を減らし、潜在的なテロ攻撃を中断させるのを助けるとして、イスラム国に対するサイバー攻撃のペースと速度を増やすことを検討しています。
メリーランド州、フォート・ミード基地(Fort Meade)を拠点とするサイバー司令部で軍のハッカーとプログラマーは、過激派のプロパガンダと新兵スカウトを妨害できる多様なマルウェアを開発したと匿名を希望する当局者は言いました。
しかし、過激派の通信を切り離すことはFBIと諜報当局からの抵抗に直面します。彼らはシリアとイラクでインターネット、ソーシャルメディア、携帯電話のアクセスを制限する努力を広めすぎると、武装勢力の位置、指導層、意図への重要な接触手段を閉めてしまうと警告します。それ以上に、通信ノードを遮断することは、シリア内戦に巻き込れた人道支援団体、反体制グループ、米国側が支援する反政府派などに影響を及ぼしかねません。ウィルスは国外のコンピュータに拡散しかねません。
アシュトン・カーター国防長官(Defense Secretary Ashton Carter )は今週、ジャミングとウィルスを含めた、スンニ派グループの通信を狙うのに使えるオプションを検討するためにサイバー部隊指揮官と会います。ホワイトハウスは国防総省高官に、12月2日にカルフォルニア州、サンバーナーディーノ(San Bernardino)で14人を殺した夫婦の銃撃犯がインターネット上で自分で急進派になり、フェイスブック上でイスラム国に忠誠を誓ったことを証拠が示した後、オプションを準備するよう指示したと当局者は言いました。ある当局者は、ホワイトハウスの人たちはサイバー攻撃のためのオプションを知りたがっていると言いました。
諜報機関がウェブに精通する過激派が使う特定の電話、コンピュータ、その他のデジタル機器を正確に狙えるので、今のところ、ホワイトハウスはより狙いを絞ったサイバー攻撃の方向へ傾いています。
しかし、アメリカのサイバー能力には明らかに限度があります。12月9日、下院国土安全保障委員会議長マイケル・マッコル下院議員(Rep. Michael McCaul)は、イスラム国のハッカーたちは暗号化されたアプリを開発し、我々がこれらの通信を傍受するどの能力をも越えて世界のどこでもiPhoneで通信ができ、彼らはこの暗黒空間に熟達したと言いました。
この問題は2016年の大統領選挙の中で噴出しました。共和党候補者ディベートでの質問に答え、トップを走るドナルド・トランプ(Donald Trump)は、彼が「我々が誰かと戦闘をしている地域で(インターネットを)閉鎖することに賛成です」と述べた時に激しいやり取りを起こしました。米当局者は長らく、インターネットとソーシャルメディアへに公にアクセスすることを制限したり、妨げたりことで、中国、キューバ、北朝鮮、その他の権威主義的な国を非難してきました。
サイバースペースでのアメリカの攻撃作戦に責任を負うサイバー司令部は、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)が2014年8月にイスラム国に対する空爆とその他の作戦を承認して以来、いくつかのコンピュータネットワークとソーシャルメディアのアカウントを標的にしてきました。しかし、一部の国防総省当局者はもっと多くのことができると個人的に主張します。彼らはいゆわるコンピュータウィルス、トロイの木馬の添付、サービス妨害攻撃とその他のデジタル攻撃がイスラム国の通信を停止させるのに使うべきだと言います。専門家はネット遮断は恐らく続かず、逆効果となり得ると警告します。過激派たちはUSBメモリ、衛星電話、その他の装置やプラットフォームを通じてメッセージやビデオ映像を送れます。すでに過激派に広く使われている暗号化は追跡をより困難にします。「我々が彼らを追いかけ、停止させるほど、我々は彼らをオンラインの安全なエリアに押し込めます」とコンピュータセキュリティコンサルタントで、アラビア語を読み、イスラム国を追跡する元空軍の言語専門家ジェフ・バーディン(Jeff Bardin)は言いました。
たとえば、2014年にツィッターがイスラム国の公式アカウントを閉鎖し始めた後、このグループは工作員とフォロワーに「Telegram」のような暗号化されたアプリを使うか、監視されにくくするために、より強力なプライバシー設定を使うよう推奨しました。大量のソーシャルメディア上のトラフィックを追跡し、閉鎖しようとするのは不可能かもしれません。ニューヨークに拠点を置き、過激派のメッセージをオンラインで追跡し、ソーシャルメディア会社に圧力をかける非営利団体「the Counter Extremism Project」は過激派は一日に約90,000件のツィッターメッセージを送ります。
さらに、諜報当局者は、イスラム国は一つが阻止されれば、コンピュータと携帯電話、メッセージ用アプリを変えるのが上手になってきたと言います。ウェブサイトが閉鎖され、新兵スカウトが妨害されると、彼らは別のサイトやアカウントに切り替え、通信は外へ出ます。「これら通信プラットフォームを中断させるためにモグラ叩きゲームに興じようとすることは、あまりに複雑で、資源消費的で、僅かな効果しかないことになりかねません」と元国土安全保障対テロ当局者のジョン・D・コーエン(John D. Cohen)は言いました。
オバマ政権は今のところは中道を選び、最もひどいイスラム国のウェブサイトのアカウントを閉鎖し、その他を新兵スカウトと工作員を追跡し、殺すために使いました。8月、シリアのラッカ(Raqqah)近くでのアメリカの無人機の攻撃は、1,300人の軍とその他の当局者の氏名、住所、写真をオンラインに掲載し、フォロワーに彼らを攻撃するよう訴えたイギリス生まれのハッカー、ジュナイド・フセイン(Junaid Hussain)を殺害しました。当局者は、フセインは5月にテキサス州、ガーランド(Garland)で預言者モハメッド(Mohammed)の漫画コンテストを攻撃しようとした武器を持つ男2人の1人と接触していたと言いました。地元警察は襲撃者2人に発砲し、殺しました。
FBI長官、ジェームズ・コメイ(FBI Director James Comey)は今月、上院司法委員会に、男たちの一人は未遂に終わった攻撃の朝、109件のメッセージを海外のテロリストと交わしたと言いました。「メッセージは暗号化されていたので、彼が何を言ったのかは分かりません」とコメイは言いました。1ヵ月後、ある過激派がソーシャルメディアに、彼の正確な位置を埋め込んだ数通の投稿を出した後、アメリカはシリアの建物にミサイルを撃ちました。
19歳のハリスバーグ(Harrisburg)の住民、ジャリル・イブン・アミール・アジズ(Jalil Ibn Ameer Aziz)をテロリズム罪で木曜日に逮捕したことは、米国内で潜在的なテロ事件を調査する連邦当局にジレンマを強調しました。起訴状によると、アジズは処刑の写真と暴力的な攻撃を始めろとの激励を含めたイスラム国のプロパガンダを投稿するために少なくとも57個のアカウントを作りました。しかし、検察官は彼に対する起訴を起こすため、これらほぼ同じツィッターのアカウントに依存しました。ツィッターは暴力的な内容のため繰り返しアジズのアカウントを停止しましたが、彼はフォロワーとの接触を再確立するために偽名「Colonal Shami」で別名を素早く設定しました。昨年夏、イスラム国と戦うためにシリアとイラクに行くことについて、彼はツィッターのユーザーと多数のメッセージを交わしました。
記事は一部を紹介しました。些末なコメントを除いては、ほとんどを訳しました。
まず、マルウェアは使わない方がよさそうです。際限なく拡散し、関係のない装置にまで悪影響を及ぼしそうです。
ウェブサイトとアカウントの閉鎖はイタチごっこになるものの、一定の成果は上げるでしょう。彼らのプロパガンダを短時間ながら止められるからです。
これら以上に成果をあげるのは、ウェブや電子メールを解析して、その中に有益な情報があるかを探ることです。つまり、ジュナイド・フセインの居場所が判明し、無人機で殺害するような用途です。
過激派同士の通信は傍受しにくいといわれます。たとえば、過激派はオンラインシューティングゲームを使い、壁に撃ち込んだ銃弾で字を書いて連絡を取り合ったことがあります。これでは傍受しようがありません。傍受できるのは、彼らが公に行うプロパガンダだけです。そこに付け入るしかありません。
以前に、イスラム教徒に対するプロパガンダこそ、テロリズムを抑える手段だと書きました。サイバー戦はそれに一部関係があります。しかし、これは未だに実現していません。正確な情報を提供し、対立を沈静化する方が、攻撃するよりましということです。戦わずに、喋るだけなんて、 効果がないと思われるかもしれません。大統領が盛んにイスラム教施設を訪問して友好を宣言すれば、敵に媚びを売るように見えるかもしれません。しかし、これは連帯を表現するための重要な手段です。
サイバー攻撃の頻度を増やすことは賛成ですが、それは一定の成果しか期待できません。プロパガンダはそれ以上に成果をあげるかもしれません。試してみて欲しいと思っています。
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