米当局者がトルコの石油密輸関与を否定

2015.12.5


 alarabiya.netによれば、ロシアの批判に対して、イスラム国によるシリアからトルコへの石油密輸は経済的に取るに足りないことだと米政府は言いました。

 米当局者は同盟国の航空作戦は民兵の石油施設を大幅に退化させたものの、その油田からくみ出される原油の大半はシリアの戦争地域の経済に吸収されたと言いました。ロシアとトルコはここ数日間、トルコが違法な取り引きに関与したという非難合戦を行い、トルコがロシアの爆撃機をシリア国境で撃墜した後、緊張を押し上げました。

 「密輸された石油の量はとても少なく、時間と共に減少し、量の面、石油と収益の量の両方で重要ではありません」と米特使で国際エネルギー問題のコーディネータであるアモス・ホチスティン(Amos Hochstein)は言いました。国務省はロシア政府のトルコに対する、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領(President Recep Tayyip Erdogan)とその一族が直接取引に関与したという非難を否定しました。当局者は金曜日、少量の石油がシリア・トルコ国境をタンクローリーで通過するかもしれないが、政府当局の関心を惹く量ではないことを認めました。「私はイスラム国支配地域とトルコの間で、量の面で重大な、大きな密輸があるとは思いません」。

 そのかわり、米当局者は記者に、シリア東部で組み上げられた石油は粗雑な蒸留器を備えた即席の砂漠の穴で精製され、シリアとイラクの戦争地域のブラックマーケットで売られると言いました。アサド政権は選択肢がある場合はイスラム国の石油を買いたがりませんが、石油が不足した時はシリアの戦線を越えてトラックを持ってくる仲介者と密輸業者の顧客の一人です。同盟国の当局者はイスラム国の収入は一日に100〜150万ドルと見積もりましたが、新しい米英仏の空爆がそれを遮断したことを希望しました。


 記事は一部を紹介しました。

 最近、ロシアがトルコのイスラム国支援を告発したと信じる日本人が増えているようです。しかし、トルコのイスラム国支援は以前から言われているものの、人員や装備の通過を黙認する程度で、石油を買っているという話は聞きませんでした。陰謀論者はトルコとアメリカがイスラム国を支援し、中東を戦乱に巻き込んでいるのだといいます。多分、この陰謀論は、アメリカの背後にはユダヤ人がいて、ユダヤ人は宇宙人と地球の支配を取り決め、地球植民地計画が進行中だと発展していくのでしょう。

 我々は現実的な考察をしなければなりません。米当局者が述べたことが、トルコの石油密輸に関するすべてだと思います。なにより、大規模な密輸があれば、ジャーナリストでも調査が可能です。国境をこっそり移動するタンクローリーを撮影し、それがトルコのどの精油所や港へ移動したかを確認すればよいのです。車はナンバープレートや外観で簡単に判別できます。

 石油は精製が重要で、粗悪な精油は市場で高値が期待できません。イスラム国は石油を自分で使ったり支配地域で売ったり、その他近隣地域へ売っているのです。

 これはロシアの戦略の誤りを暗示します。石油施設を破壊すればイスラム国の財源が断てるというコンセプトが成立しないからです。ロシアの戦略ではソ連時代のアフガニスタン侵攻のように泥沼に陥る可能性が高く、結末も計算せずに力任せに空爆する手法が有効とは思えません。プーチン信者は信じないでしょうけど。2003年、ブッシュ政権がイラクに侵攻した時、アメリカの軍事専門家は、一連の対テロ戦争には財源的な裏付けがなく、いずれどれかを放棄することになると予測しました。ブッシュ政権はこうした警告を無視して失敗しましたが、ロシアにはこういうことを警告する人がおらず、戦争への道を失踪しています。酔っ払いがアルコールが切れるまで喧嘩を続けるのと同じで、ロシアの勢いもいつかは落ちるでしょう。半年か一年か。精々、そんなところでしょう。その間にロシア国内でテロ事件が起きると、片足を泥に突っ込んだつもりだったのが、両足共にということになるでしょう。

 


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