「イスラム国」の名称はどう表記すべきか?
当サイトは「イスラム国」という名称を用いていましたが、今後、変更することを検討しています。
当初は直訳して「イスラム国家」と書いていました。イスラム国だと、本当の国と勘違いされる可能性があると考えたからです。しかし、イスラム国家でも混乱を招く恐れはあり、居心地の悪さは残りました。
しかし、イスラム国でもイスラム教と混同されるとの指摘が各方面から出ています。最近、中妻じょうた板橋区会議員のフェイスブックで、国内イスラム教団体から改名の要望が出ていることを知りました。中妻区会議員はchange.orgでNHKに働きかけを行っています。これとは別に、私は国内イスラム教団体、28団体からも要望が出ていると知りました。宗教団体からの要請は重く受け止めなければなりません。特に、最近、日本でもイスラム教に対して、公然と差別が行われている時にはなおさら重要です。
それでも、自民党が決めたようにISILに変えるという話になるのですが、この名称は、さらに変わる可能性があるので困っています。
自民党の三原じゅん子参議はフェイスブックで、「何故にメディアは未だに『イスラム国』と言うのか。」と批判していますが、実は米軍が最近、「ISIL」から「Daesh」に変更しているのです。広報官は記者会見でDaeshと言うようになりました。しかし、質問する記者は今でもISILを使っているようです。
ホワイトハウスでは、まだ統一されていませんが、バイデン副大統領は2月7日の会見で「ISIL, or as they say in the region, Daesh」と「この地域でいうDaesh」と言い添えています(会見の記録はこちら)。多分、近い将来、米政界も呼称を変更すると予想されます。フランス政府はすでにDaeshに変更済みです。
Daeshはアラビア語で「「الدولة الاسلامية في العراق والشام( ダウラ・アルイスラーミヤー・フィー・アルイラーク・ワッシャーム)」であり、その省略形が「 داعش」で、英語表記にするとDaeshとなります。
12月18日に、military.comの「DoD Buzz」でこの問題が取り上げられました。その中に興味深い記述がありました。
新設された対テロ組織機動部隊の指揮官、ジェームズ・テリー中将(Army Lt. Gen. James Terryは、「DAESH」は、「踏みにじる」とか「踏みつける」ことを意味するアラビア語の動詞「Das」にも似ていると言いました。
イスラム国のアラブの敵対者はテロリストに、自分の意志を他人に押し付けようとする分からず屋を意味するアラビア語の蔑称「Daeshi」を使っています。テロ組織は彼らをDaeshiと呼ぶ者の舌を切ると脅しています。
Daeshという名称がテロリストを刺激する恐れもありそうです。これが公式用語となると、これを使うジャーナリストが攻撃対象になるかもしれません。たとえば、ジャーナリストがテロ組織に拘束され、尋問されたときに、Daeshという言葉しかないと、それをテロリストの前で口にした時に彼らにはDaeshiと聞こえ、彼らを激怒させる恐れがあるのです。安倍首相は「テロリストに気配りする必要はない」と国会で答弁しましたが、我々としては万人の安全を考えるべきです。ISILという名称を残す理由を否定することはできません。
今後、米政府が公式に名称をDaeshに変更する可能性があり、そうなれば日本政府は追随するのは間違いありません。
当サイトでどう表記するかは、引き続き検討していきます。
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