アル・バグダッディ戦の国内報道が大げさすぎる
昨日、大したことがなかったと紹介したアル・バグダッディ戦ですが、国内マスコミは大きく報じ、国内政治家のフェイスブックにも懸念の発言が見られます。
military.comによれば、自爆攻撃はイラク軍が軍のゲート付近で殺しました。米軍の無人偵察機と陸軍のアパッチ攻撃ヘリコプターがバグダッドから現場へ向かったものの、到着する前に攻撃は終わり、戦闘には関与しませんでした。
記事は一部を紹介しました。
マスコミの人たちはキーワードで物事を考えがちです。この事件では、米軍基地のすぐ近くの街が攻撃を受け、占領されたこと。米軍がいる基地に地場攻撃が行われたことから取り上げたのでしょう。
しかし、この空軍基地が広大で、南北に6km、東西に9kmもある広大な敷地であること。ゲート付近で自爆しても、どってことないこと。アル・バグダッディはごく小さな街で、建物も大してないこと。こんな街が占領されたところで、大した意味はないこと。このことはイラクまで行かなくても、Google Earthで調べると、すぐに分かることです。
地勢をしっかりと調べれば、今回の攻撃がほとんど意味がないことが分かります。
バグダッドから現場まで約170km、攻撃へリの巡航速度210kmとして、約49分で到着します。連絡や発進にかかる時間も考えると、攻撃は30分程度で終わってしまったと推定できます。この程度の戦闘は珍しくありません。
昨日説明したとおり、地勢的には、大軍を有しない限り、ここではイスラム国が不利です。というか、ここに大軍を置けないイスラム国の戦略はおかしいのです。3万人程度しかいないイスラム国が、厖大な面積を支配しているのですから、各地では戦力不足に陥るのは当然で、今後、各個撃破されるのは目に見えています。かつて、ブッシュ政権がイラク侵攻を検討した時、米陸軍は56万人が必要だと見積もりました。それに近い範囲をイスラム国は3万人で支配しているのです。無理があるのは当然です。
ついでに言うと、クルド人の支配地域で、一時、日本人が拘束され、その後、釈放されたという記事も出ています。この人がどんな人かは不明ですが、この地はむしろ安全だと、私は考えています。ジャーナリストがイスラム国との戦闘を取材するのなら、クルド自治区へ行くべきです。クルド人は日本人に好感を持っているし、世界に自分たちの戦いを発信する格好の機会と考えるはずです。シリア国内だって、コバネならクルド人が奪還して、安全になっています。付近の村を奪還する戦闘を取材することは可能です。何かと大騒ぎして、過保護なことやるのが日本社会の欠点です。
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