人員不足の無人機搭乗員に報奨金

2015.2.16


 military.comによると、米空軍の無人機パイロット約10人が人員不足に対処するために、今年1,500ドルの新しいボーナスを受け取ることになっています。

 空軍は先月末、6年間の軍役を終えた遠隔操縦パイロットに650〜1,500ドルまで毎月の報奨金を2倍以上にすると発表しました。

 この変化(より経験の無い者たちには適用されません)は、当局が方針を変更するまでの一時的な変更で、年に長期勤続給与約25,000ドルを支払います。

 空軍公報のローズ・リチェソン(Rose Richeson)は、新しい報奨金はすぐに施行され、「6年間の現役軍務をこなすまでは受け取れず、第一号は2015会計年度の末(今年9月30日)に登場するでしょう」といいました。2016年には10人に満たない者が該当者となる見込みです。

 無人機パイロットは年間900〜1,100時間飛行するのが普通で、戦闘機パイロットはその半分か、少し少ないくらい飛行します。ある将校は「我々の飛行スケジュールは厳しいものです。週に6日間飛行します。過去2年間、年に1,500〜1,600〜1,700時間飛んでいます」「この先の飛行スケジュールが想像できません」。

 空軍には無人機プレデターとラプター用に約1,000人の現役パイロットがいますが、さらに200人以上の追加パイロットを必要としています。空軍はそうしたパイロットを年に180人訓練していますが、それらの約300人を必要としながら人員の自然削減で約240人を失います。多くの教官が作戦部隊に引き抜かれるために、訓練部隊は慢性的に人員不足です。


 記事は一部を紹介しました。

 すっかり巨大化した無人機部隊ですが、長時間の勤務と人員不足に悩まされているという記事です。

 人員不足は米空軍の都合ですが、我々が注目すべきなのは、それだけ無人機の用途が広がっているということです。対テロ戦に無人攻撃機が使われているということです。

 確かに、無人機でテロ組織の幹部を暗殺できるのは利点です。私は同時多発テロ直後に、アメリカがやるべきなのは、組織の幹部を狙った暗殺や拘束だと考えました。この頃、無人攻撃機による暗殺は考えませんでした。特殊部隊を用いた暗殺・拘束が現実的な時期でした。しかし、特殊部隊の投入には失敗もつきもので、それなりの犠牲を覚悟しないと行けません。その点、無人攻撃機は犠牲が出ても機械が壊れるだけなので、心は痛みません。

 しかし、無人攻撃機も万能ではなく、オサマ・ビン・ラディンと思って攻撃したら別人だったといった事故を引き起こしました。領空侵犯は常のことで、国際法上の問題も抱えています。いまや、対テロのためなら、無人機の使用にほとんど制限がつけられていません。

 米軍の兵器開発は、常に他国の追随を許さない分野を意識的に狙います。軍事的優位性を崩さないように、他国ができないようなことを先に行うのです。国防予算を多く出せない国は、既存の兵器を運用するだけに留まりますが、米軍は積極的に新しい兵器を開発します。形式的には議会の承認を得ていますが、新兵器の企画は連邦議員が考えるわけではありません。兵器産業と軍人が発案して、半自動的に承認されていくに等しいのです。連邦議会は性能に疑問を呈しながらも、オスプレイの導入を承認しました。

 日本の場合はもっとひどくて、こうした米軍の新兵器を無批判に大量購入するだけです。そこにつけられる理由は滅茶苦茶でもお構いなしです。野党もマスコミも大した追求はしないし、与党の支持者は無批判に受け入れるのです。

 


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