クルド軍がラッカ州に向けて、さらに前進中
BBCによれば、シリアのクルド人戦闘員と反政府軍はラッカ州(Raqqa)へ前進し、イスラム国から19ヶ所の村を奪ったと、人権団体は言います。
人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、米主導の空爆が主要や役割を演じたと言いました。
先月、コバネからイスラム国を追い出してから、クルド人民防護隊(YPG)と反政府軍は周辺の村約240ヶ所を占領しました。
彼らは現在、タル・アビアッド(Tal Abyad・kmzファイルはこちら)から25km足らずにいると考えられています。
YPGと3つの反政府グループ、ラッカ革命旅団(Raqqa Revolutionaries Brigades)、シャムス・アル・シャマル(Shams al-Shamal)、ジャバット・アル・アクラッド(Jabhat al-Akrad)は、1月26日にコバネ(Kobane)を支配してから、イスラム国の領域へ着実に進みました。
彼らはタル・アビアッドへ向かって東方へトルコ国境に沿う村の列を占領したとされますが、一部は南方へ向かっています。
木曜日、人権団体はラッカ州のアイン・イッサ(Ain Issa・kmzファイルはこちら) 北西のフランス企業「Lafarge」のセメント工場周辺で戦闘があったと言いました。
YPGと同盟グループはアレッポとハサカ(Hassakeh・kmzファイルはこちら)をつなぐ約35kmの高速道路を支配しました。アイン・イッサと高速道路はイスラム国の事実上の首都ラッカ市(kmzファイルはこちら)から約56kmです。
記事は一部を紹介しました。
16日に紹介した記事では、クルド人が占領した村は163ヶ所でした。それが240ヶ所に増えているので、かなりの速度で前進していることが分かります。
セメント工場はアイン・イッサの北西30km、M4号線沿いの場所と考えられます。ここはアレッポからハサカに向かう幹線道路でもあるので、ここを占領すれば、アレッポ方面からも増援と補給が期待できることになります。この道路とタル・アビアッドに直結する道路に沿って進撃するのは、地上戦の常識であり、クルド軍がそれに従っていることが分かります。
前にも指摘したと記憶しますが、この辺には大きな街や防御に適した地形がないので、短時間でクルド軍が前進しても不思議はありません。問題は、分散しての前進なので、イスラム国がどこか一ヶ所に戦力を集中して、大きな損害を出し、進撃が止まることです。クルド軍の現在位置では、まだ本格的な戦闘は起こりませんが、アイン・イッサではかなりの抵抗があるはずです。セメント工場はハサカへ向かう道路とコバネから来る道路が合流する場所なので、イスラム国はかなり抵抗したはずです。しかし、負荷の高い戦いはアイン・イッサ以降となるでしょう。
アイン・イッサが陥落すると、その先の交差点を封鎖でき、そうなるとラッカ市からタル・アビアッドへの補給線が切れるのです。タル・アビアッド戦には世界のメディアが注目しますから、トルコも国境を封鎖するしかなくなります。
ここまでの展開は予想以上です。クルド軍の精強さと、意外に弱いイスラム国軍を比べずにはいられません。宣伝上手なだけで、戦闘訓練がいい加減なイスラム国のメッキが剥がれかかっています。
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