米軍がイラク北部に捜索・救出チームを配置

2015.2.6


 alarabiya.netによれば、ヨルダン人パイロットがシリアで殺された後、米軍は墜落したパイロットを救出するために航空機と兵士を派遣しました。

 国防当局者は「我々はイラク北部で一部の資源を再配置しています」と言いました。この動きはイスラム国の支配領域に入ってしまったパイロットに行き着くための対応時間を短縮することになっています。

 捜索・救出要員はクウェートに置かれていましたが、当局者は水曜日に、ヨルダン人パイロットを失った後で、軍がハードウェアと専門家が置かれている場所を再検討したと言いました。

 当局者は一部の捜索・救出チームと航空機をイラク北部へ移動することは、必ずしもヘリコプターにいているが固定翼機のように飛ぶオスプレイの再配置を含まないと言いました。

 イラクで、オーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フランス、オランダとイギリスが、8月8日に始まった空爆に参加しています。アメリカは空爆で主要な役割を演じ、少なくとも80%の空襲を行っています。


 記事は一部を紹介しました。

 ヨルダン人パイロットが焼殺された映像をFOXニュースは編集せずに全編を放送したと言います。その残虐な映像を見れば、アメリカ人なら、空爆に参加するパイロットの救出態勢は万全かと心配になるはずです。

 そこで、イラク北部の態勢を強化したわけです。ここはクウェートから発進するより、攻撃を行う空域にずっと近い場所です。

 空爆を行うために戦闘爆撃機を派遣すれば済むというものではありません。航空機の動きをモニターする航空機、墜落が起きた場合にパイロットを救出・捜索するための航空機が必要になるのです。

 これで救出・捜索態勢は万全でしょうか?。ヨルダン人パイロットがイスラム国に捕まったのはシリアです。ここの態勢は変化がありません。多分、十分な態勢をとっていると判断されたのでしょう。しかし、そこで現実にパイロットが拘束されたのです。イラク北部の態勢を強化しても、常に同じことが起きる危険はあります。しかし、軍はある程度の確実性を確保できれば、行動を実行するものなのです。こうして軍事作戦というものは、どんどん肥大化していく傾向があります。

 しかも、救出・捜索チームが墜落し、さらに支援が必要になる場合もあります。そして、そこで悲劇が起きる場合すらあるのです。1人を助けるために大勢を犠牲にする可能性です。

 日本の政治なら、こうした態勢をとりましたと説明すれば、マスコミは納得し、国民も右に倣います。国会答弁を聞いていても、そんな雰囲気が充満していますが、実際の戦争はそのようなものではありません。今のままだと、日本人は本物の戦争に遭遇して、「あぁ、戦争とはこういうものか。もっと早くに気がつくべきだった」と言うことになりそうです。太平洋戦争中ですら、零戦パイロットの坂井三郎氏が言っています。彼は硫黄島に米軍が上陸する直前に帰還が許され、東京に戻ってきます。硫黄島が米軍の空爆で地獄と化していたのに、東京はまるで戦争などないかのようだったと、回顧録に書いています。

 それから、オスプレイが救出・捜索活動に使わないとの部分にも注意が必要です。この航空機はその任務にまったく向いていないということです。「夢のマシン」とうたわれたオスプレイですが、ヘリコプターモードの性能がひどく悪いことが忘れられています。

 


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