ジハーディ・ジョンの処刑の腕
イスラム国の脅迫ビデオの斬首は素材作りのために行われた芝居の処刑の可能性があります。
イスラム国の脅迫状ビデオに登場するジハーディ・ジョンについて、私は以前から持っている疑問があります。
それは、映像の中の処刑は本物ではなく、斬首は別に行われた可能性が高いと考えています。
ジョンの斬首方法は不合理なのです。
ジョンは被害者の顎に手を回し、ナイフを喉の前にあてがい、ノコギリみたいに左右に動かし始めます。ここで映像は途切れ、首が切断された静止画に切り替わります。
ジェームズ・フォーリー氏を殺害する場合を除いて、この時の手の動きは明らかに力を込めていません。むしろ、切れないように注意しているようです。ナイフの刃が首に入ると、被害者の体が反応し、ピクッと動いて、口が開いたりします。これは2004年にイラクで香田証生氏がアルカイダ兵士、フセイン・ファハミ・バドルに殺害されたときにみられ、体の反射的な反応といえます。
この殺害方法だと、まず気管が切れます。それから喉の両側面にある血管が切れます。これで脳に送られる血液が止まるため、被害者は急速に意識が遠のき、死亡します。問題は、喉を前から切ると絶命までに時間がかかり、被害者が苦痛で身をよじらせるために、処刑がしにくいことです。姿勢が崩れ、ジョンはそれを元に戻しながら首を切ることになります。いくら覚悟を決めた人でも、こうした切り方をされると、静かではいられません。
アルカイダ兵の方が手際は上でした。彼らは3人で被害者を地面に横倒しにして、2人で体を押さえ、ナイフを持った男が髪をつかんで欠陥を切断して放血させ、意識を失った被害者の首を切断しました。狩猟免許を持つ私に言わせると、これは獲物に苦痛を与えない、合理的な殺し方です。
だから、映像素材を作るために偽の処刑を演じ、その後に、数人がかりで斬首している可能性があります。本当にジョンが処刑しているかどうかは分かりませんが、映像の処刑は素材作りのための芝居です。
ジョンについて調べていたら、express.coが、日本人の事件に登場したジョンは、それ以前のジョンとは別人で、彼はシリアのコバネ(Kobani)か米軍の空爆で死んだかもしれないと報じているのを見つけました。
これはドイツの新聞「Bild」に載ったテロの専門家、ピーター・ニューマン教授(Professor Peter Neumann)の意見です。同紙は背格好、動きも以前と違うと言います。シンクタンク「the Quilliam Foundation」のチャーリー・ウィンター(Charlie Winter)は「すでに死んだのなら、イスラム国が彼を置き換えるのは当然だ」と言いました。
そこで急遽、下のビデオと日本人の事件のビデオを比較してみました。
被害者 |
処刑の日付け |
ジェームズ・フォーリー(James Foley) |
2014年8月19日 |
スティーブン・ソトロフ(Steven Sotloff) |
2014年9月2日 |
デービッド・ヘインズ(David Haines) |
2014年9月13日 |
アラン・ヘニング(Alan Henning) |
2014年10月3日 |
ピーター・カッシグ(Peter Kassig) |
2014年11月15日 |
声紋分析や人相の画像解析は使えませんから、ビデオ上で確認した限りですが、全部同一人物です。背格好、少しだけ見える顔、声のいずれも別人と判断できるものはありませんでした。誤報と断定してよいと言えます。
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