産経新聞が北朝鮮のミサイルで誤報
日本、韓国射程の弾道ミサイル1000基保有 米機関が北朝鮮分析
【ワシントン=青木伸行】米ジョンズ・ホプキンズ大高等国際問題研究大学院は7日、北朝鮮が日本や韓国を射程に収める弾道ミサイルを約千基保有しているとの分析結果を発表し、警告した。
また、米本土に到達する射程をもつとみられている移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)KN08などについては、地上発射型であるため先制攻撃に弱く、性能面における信頼性も高くないと分析した。
一方、米本土防衛を担う北方軍・北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)のゴートニー司令官は7日の記者会見で「北朝鮮は、核爆弾をKN08ミサイルに搭載し米本土を狙って発射する能力をもっているというのが、われわれの評価だ」と指摘。核爆弾を小型化し弾頭をミサイルに搭載する能力を、すでに保有しているとの認識を示した。
当サイトでは珍しく、全文引用します。そうしないと、この記事のバカバカしさを理解できないでしょう。
この際、青木伸行記者を名指しで批判しておきます。この記事は酒を飲みながら書いたのでしょうか。一体、このレポートをどう読んだの?。こんな者をワシントン支局に置く産経新聞も批判したい。
記事の元になったレポートは「38 North」に掲載されました(リンクはこちら)。「The Future of North Korean Nuclear Delivery Systems」のリンクでレポートをダウンロードできます。
KN08は射程7,500〜9,000キロで、ノドンやムスダンと違い、二段式で射程を延ばしたのがミソです。でも、一部のアナリストは一段エンジンの試験が行われながら、打ち上げ試験が行われていないことから、戦略的偽装活動を疑っているともレポートは書いています。私もそう考えています。北朝鮮にしては、一足飛びに進歩したという感じしかありません。
この記事の問題点は「移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)KN08などについては、地上発射型であるため先制攻撃に弱く」という部分です。
12ページにこの訳文に該当する文があるのですが、これはテポドンの技術的問題の説明です。テポドンは打ち上げ場所が決まっている非移動型のミサイルです。打ち上げられる施設は2カ所しかなく、準備段階で破壊可能です。青木記者はこの部分を移動式ミサイルの説明と勘違いしたようです。
逆に21ページにはこう書いてあります。「移動型液体燃料式のノドン準中距離弾道ミサイルに大半集中する北朝鮮の最近の運搬システムは、先制攻撃で破壊するのが難しいことを証明した」。青木記者はここを読まなかったようです。
英文を読まなくても、常識があれば、移動式のミサイルは打ち上げ前に探知するのが難しいことくらい分かるはずです。それも知らないで軍事記事を書いているのが、現在のマスコミです。
なお、このレポートには目新しいことは書かれていないようです。これまで主張してきたことをまとめてあるところに価値があります。
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