自衛隊の警護対象は米軍と豪州軍だけ
政府は14日、安全保障関連法案に関する公明党の会合で、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態の段階で「日本の防衛に資する活動」を行っているとして「武器等防護」の規定で警護できる他国部隊の対象について、現時点では、米軍のほかは豪州軍に限られるとの見解を示しました。
自民、公明両党の与党協議会が同日朝、再開され、政府は、武器等防護に関する「基本的な考え方」と題する政府見解の文書を提出しました。米軍以外の警護対象について、「防衛分野において緊密な協力関係にある外国の部隊におのずから限られる」としました。公明党によると、その後に開いた同党の会合で、この基準を満たすのは、「現時点では豪州軍に限られる」と口頭で説明しました。公明党は、警護対象を、普段から自衛隊と連携している国に絞り込むべきだと主張していました。
先日、イエメン国内にいた日本人1人が中国艦船によって移送され、オマーンに到着するという出来事がありました。日本人を紛争地域から輸送する外国軍の艦船が攻撃を受けた場合、日本は集団的自衛権を行使できるというのが政府見解でした。ならば、この中国艦は自衛隊の警護を受けられたのかという疑問が湧きました。
しかし、それはしないことが、今回の政府見解で分かったことになります。つまり、対象は「日本人を紛争地域から輸送する船」ではなく「日本の友軍」だということです。それも環太平洋地域の国に限られるということです。これでは、実はその目的は邦人保護ではなく、日本領域の防衛のためだったということになります。
目的に合致した手段を用いるというのが軍事の基本です。日本は目的も手段も滅茶苦茶です。これだから、私は日本の防衛について語る機会が少ないのです。ここはあまりにも合理性がない分野なのです。
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